研究課題/領域番号 |
19K18240
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 富山大学 (2020-2023) 金沢大学 (2019) |
研究代表者 |
川上 正晃 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (10816656)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | CIPN / マイクログリア細胞 / 化学療法誘発性末梢神経障害 / 脊髄後根神経節 / 炎症 / グリア細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
抗がん剤(パクリタキセル)を隔日4回腹腔内投与することによりCIPNモデル動物を作製、神経症状と炎症病態の関連を明らかにする。その後この病態に対して有効な薬剤を同定し、予防及び治療へと発展させていく。また、顕微鏡下にマウスからDRG を採取し初代培養したグリア細胞を作製し、動物実験で検討した病態について細胞レベルでも検討を行う。これにより、CIPN に対する治療効果とその機序をより多面的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
化学療法誘発性末梢神経障害は有効な予防および治療法は現在まで確立しておらず、動物を用いた実験においては、病態形成の機序に係わるいくつかの分子生物学的機序が指摘されているが、明らかにされてはいない。その機序を解明するため、化学療法誘発性末梢神経障害モデルマウスと、人において化学療法誘発性末梢神経障害を増悪する事を報告した薬剤であるクロピドグレルとパクリタキセルを同時に投与したマウスを作成し、神経症状の悪化について評価した。また、脊髄後根神経節および脊髄を採取し、炎症性のサイトカインやケモカインなどの炎症マーカーをReal-time PCR法を用いて評価・比較検討を行った。さらに、下肢から表皮サンプルを採取し、表皮内神経繊維密度の変化と炎症の関連を免疫染色法を用いて定量的に評価した。 結果として、パクリタキセル投与群で神経症状の悪化が見られた。また、クロピドグレルを併用した群でも神経症状の悪化が見られたが、その悪化の程度に有意差は認められなかった。また、PCR法で評価した炎症マーカーでも有意な差は認められなかった。一方、表皮内神経線維密度は複数の評価者で定量したが、評価者ごとのばらつきがあり、実験データとしては採用できなかった。現在、統一した評価方法を作成している。また、神経系のグリア細胞(脊髄後角および後根神経節のサテライト細胞やアストロサイト、末梢神経のシュワン細胞)の活性化と形態変化が生じ、それが化学療法誘発性末梢神経障害の症状と関連したという報告があり、その影響を評価するための細胞実験については、新型コロナウィルス感染症と異動のため実験を行う施設の準備が予定より遅延したため開始すること ができず、現在培養環境を整えている最中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
・化学療法誘発性末梢神経障害モデルのマウスの疼痛評価が安定しない ・人において神経障害を増悪させた薬剤がマウスでは効果が不安定で、それが疼痛評価が不安定なためか薬剤が無効なのか、繰り返し検討を行っているため ・以前使用していた細胞実験を行う環境が使用できなくなり、新しく環境を整えるのに予定より時間がかかってしまった ・昨年7月から期間限定で職場が変わっており、また新型コロナウィルスの影響で、実験を行える機会が減っている
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今後の研究の推進方策 |
・疼痛評価の方法の見直しを行い、再現性のある評価を行う。また、パクリタキセルと合わせて投与する薬剤の見直しを行い、炎症に対する評価を行う ・細胞実験を行える環境を早期に整え、グリア細胞における炎症について評価を行う
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