研究課題/領域番号 |
19K18252
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
寅丸 智子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70594612)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 麻酔学 / 低酸素応答 / プレコンディショニング / 慢性痛 / 複合性局所疼痛症候群 / 自律神経障害 / 低酸素応答機構 / 複合性局所疼痛症候群 (CRPS) / 慢性疼痛 / 病的疼痛 |
研究開始時の研究の概要 |
最近、侵害受容体の一つであるTRPA1が細胞内酸素濃度センサー・プロリン水酸化酵素(prolyl hydroxylase: PHD)によるチャネル機能の修飾を受けていることが報告されており、また、一般的な病的疼痛でも局所低酸素が関与していることが報告されている。しかし、PHDと病的疼痛の重症化・慢性化との関係性や、その治療法についてはほとんど検討されていない。 本研究では、PHDに着目し、臨床的に重要な種々の病的疼痛の重症化・慢性化との関係性を明らかにし、局所低酸素を制御することによる新たな疼痛管理法を展開する。
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研究成果の概要 |
重要組織では、組織低酸素の際、プロリン水酸化酵素(PHD:prolyl hydroxylase domain)を介した低酸素応答機構が発動する。動物の術後痛モデルでも、手術創部における組織低酸素が実証されているが、末梢組織における低酸素応答機構の有無、および、術後痛への影響は不明である。 PHD阻害による低酸素応答活性化は、マウス術後痛モデルにおいて、術後痛への影響は認めなかったものの、手術に伴う局所発汗障害を改善した。PHD阻害は、交感神経保護作用を介して、術後の局所自律神経障害に対して保護的に働く可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、マウス術後痛モデルの創部神経束においてPHDが存在することを突き止めた。PHD阻害は術後痛には影響なかったものの、術後局所発汗障害を改善した。PHD阻害は、交感神経保護作用を有し、予防的なPHD阻害が術後自律神経障害に対し保護的に働く可能性が示唆された。 創部の強い痛みや自律神経障害が慢性的に続く複合性局所疼痛症候群 (Complex regional pain syndrome: CRPS) では、術後創部における虚血が発症の一因とされている。CRPS患者の病理組織は本研究での知見に合致する点が見受けられ、PHD阻害が術後CRPSへの進展を予防する可能性も示唆された。
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