研究課題/領域番号 |
19K18260
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
堀越 雄太 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (50638260)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 術後認知機能障害 / 脳由来神経栄養因子 / proBDNF / デクスメデトミジン / BDNF / 神経炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ヒトの70~80歳に相当するとされる生後20~24か月の老齢ラットを用いて、術後認知機能障害と脳由来神経栄養因子およびその前駆体と、神経炎症との関連を明らかにする。老齢ラット開腹術後モデルを用いて海馬内、脳脊髄液、血液中の脳由来神経栄養因子およびその前駆体と炎症性サイトカインを定量的に評価する。術後認知機能障害は行動学的検査(新奇物体認識試験)によって検討する。 また、異なる麻酔薬(セボフルラン、デスフルラン、プロポフォール)で結果を比較することにより、麻酔薬による差異を検討する。
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研究成果の概要 |
老齢ラットを用い、全身麻酔下手術によって脳由来神経栄養因子(BDNF : Brain-derived neurotrophic factor)とその前駆体(proBDNF)の海馬内濃度が低下することを確認した。セボフルラン麻酔とプロポフォール麻酔で麻酔薬による差異を検討したが、BDNFとproBDNFの術後変化に差を認めなかった。全身麻酔中にデクスメデトミジンを腹腔内投与したところ、血清BDNF濃度が上昇し、全身麻酔下手術による海馬BDNF低下を抑制することを明らかにした。このデクスメデトミジン投与による効果は、プロポフォール麻酔よりもセボフルラン麻酔で有効な可能性が高いことが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
全身麻酔および手術後に術後認知機能障害を発症すると、患者の生活の質を低下させるだけでなく死亡率も上昇させる可能性が示唆されており、その機序解明と予防法の開発が急務である。本研究では、老齢ラットを用い、神経保護作用を有するBDNFが手術後に海馬で低下し、BDNFとは正反対の作用を有するproBDNFも同様に海馬で低下することを明らかにした。また、デクスメデトミジンが術後の海馬BDNF低下を抑制し、この効果は麻酔薬の違いにより有用性が異なる可能性があることを明らかにした。さらなる研究を行うことで、術後認知機能障害の機序解明に繋がり有効な予防法を確立できる可能性がある。
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