研究課題/領域番号 |
19K18292
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
坂倉 庸介 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (50608940)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2019年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 敗血症 / 好中球 / 核染色画像 / 機械学習 / 人工知能 / 白血球 / 核エントロピー |
研究開始時の研究の概要 |
敗血症の予後改善を改善するには、潜在的に重症化の可能性のある患者をいかに早く見つけ、有効な早期介入を行えるかにかかっている。 本研究は、敗血症の重症化予測システムとして、塗抹検体レベルの好中球核DNAの染色を最先端の人工知能技術である深層機械学習を用いて解析し、集中治療室入室時点でその後の重症化を予測するという、究極の敗血症重症化予測診断法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、敗血症の重症化予測システムとして、塗抹検体レベルの好中球核DNAの染色を最先端の人工知能技術である深層機械学習を用いて解析し、集中治療室入室時点でその後の重症化を予測するという、究極の敗血症重症化予測診断法の確立を目指すものである。 敗血症は感染を契機に発症する全身性反応疾患であり、集中治療領域において最も死亡率の高い病態であり、その死亡率は高度先進医療施設においてもここ10年あまり20%から30%で推移したまま改善が見られておらず、院内死亡の実に1/3に関連するとも言われている。敗血症の予後を改善するには、潜在的に重症化の可能性のある患者をいかに早く見つけることができるかにかかっている。通常の臨床では好中球の数や各の左方移動を検査するが、それらは「重症化した後の像」であって、「重症化する前の重症化の予兆」を確認できる手立てはまだないのが現状である。本研究では、好中球の核染色画像の微細な変化を高精度顕微鏡で捉え、人間の目では認識できないレベルの画像解析を機械学習を用いて行うこととする。 そして、後に重症化した好中球核画像を教師とした深層機械学習によって、好中球核画像による敗血症重症化予測人工知能の創生のためのシーズとなるデータを提供することを目標とする。 本研究にて、末梢血塗抹像のベッドサイドにおけるFeulgen染色のプロトコールと検体動線が確立された。さらに、キーエンスオールインワン顕微鏡による観察と好中球各画像の自動キャプチャを可能であることが示された。核染色画像の解析方法には複数の手法があり、それぞれの画像解析法について科学的特徴を検討し、実臨床に応用可能な解析手法の確立を行っていく必要があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血液塗抹検体のFeulgen染色によって好中球核染色画像が得られることがわかっており、キーエンス社のオールインワン顕微鏡による観察と定量が可能であることがわかっている。さらに、複数社の顕微鏡、解析ソフトを検討する必要があり、研究を展開させていく。 また、好中球の核染色画像については培養細胞での実験系も必要である。培養細胞での炎症反応惹起実験系は、培地に対する炎症惹起薬剤の添加とその後の細胞間伝達化学物質(インターロイキン、ケモカインなど)の培地中放出の測定および、培養細胞の遺伝子・タンパク発現解析における既知の炎症反応性分子の解析が既知の実験手法として知られているが、この実験系において核染色画像を取得し、画像の機械学習を行い、培養細胞の炎症反応と核の形態学的変化の関連についても解析する。
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞の炎症惹起系で得られた好中球核染色画像の機械学習によって、炎症型好中球核染色画像の機械学習が可能かどうかを検討することを最優先に行う。理由は、検体数を容易に確保できること、炎症の程度についてのバイオマーカーを用いた評価法が既に確立されていることである。 人を対象とした検討においては、集中治療室入室予定の外科手術患者を対象とした前向き観察研究を立ち上げる必要がある。そのための倫理委員会に提出する基礎データーの取得を行い、臨床研究が適正に行われるための準備を進めて行く。 想定される課題として、外科手術後に敗血症を合併する患者数の少なさが挙げられる。現状、単施設では予定手術後に重症敗血症を合併する症例は年間を見てもそう多くはない現状があるため、将来的には多施設共同研究に展開する必要も考えられる。そのためには、本研究によって、確実なプロトコールを確立していく必要がある。
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