研究課題/領域番号 |
19K18371
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
井上 岳人 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30772652)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | セルトリ細胞 / アポトーシス / エンドトキシン / 急性炎症 / デスレセプター経路 / インターロイキン―18 / 精巣 / 感受性 / インターロイキンー18 / インターロイキン-18 |
研究開始時の研究の概要 |
敗血症などの全身炎症では精巣炎も併発し得るが、男性生殖機能への影響や男性不妊の可能性についてほとんど報告されていない。申請者は精巣生殖細胞およびライディッヒ細胞のアポトーシスに対するIL-18の働きを明らかにした。本研究では精子形成・分化および血液精巣関門形成に関与するセルトリ細胞のアポトーシスとIL-18との関係性の検証ならびに急性炎症後の生殖機能不全および性腺機能不全の治療応用へと展開するための研究基盤を確立する。炎症に伴う生殖細胞や精巣細胞のアポトーシスを原因とする生殖機能不全ならびに性腺機能不全のリスクを回避できる可能性を示し、生殖医療や重症病態後のQOL改善に貢献する。
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研究実績の概要 |
我々は急性炎症時に精巣内で発現が上昇する過剰なインターロイキン-18(IL-18)により生殖細胞およびライディッヒ細胞のアポトーシスが誘起される可能性を示してきた。本研究では精子形成に関与するセルトリ細胞のアポトーシスとLipopolysaccharide(LPS)およびIL-18との関係性を検証した。マウスセルトリ細胞由来TM4細胞をLPSあるいはrecombinant IL-18(rIL-18)で刺激し、炎症反応およびアポトーシスシグナル伝達経路の一つであるデスレセプターを介する経路の関連因子の発現を解析した。LPSおよびrIL-18刺激によりセルトリ細胞の炎症反応は惹起された。しかし両刺激ともセルトリ細胞のアポトーシスを誘導しなかった。デスレセプター経路関連因子の発現に着目すると、LPS刺激ではFas/Fasl経路のFasの発現は増加するもののFaslの発現を低下させた。LPSはTnfr1やFadd発現にほとんど影響を与えなかった。しかし、rIL-18刺激はTnf/Tnfr1経路のTnfr1を減少させるものの、Tnf-α、Fasl、Fas、Faddの発現にほとんど影響を及ぼさなかった。以上の結果から、セルトリ細胞は外因性炎症刺激物質(LPS)および内因性炎症刺激物質(高濃度rIL-18)の刺激に対し、感受性が低く、強い炎症刺激にもかかわらずアポトーシスを起こしにくいことが示唆された。また、刺激因子の種類によりアポトーシスを回避する機構が異なることが明らかとなった。本研究結果はライディッヒ細胞のアポトーシスがLPSとrIL-18刺激によりFas/Fasl/caspase-8依存的およびTnf/Tnfr1/caspase-8依存的経路を介して誘導されることを示した我々の既報と対照的であった。故に、セルトリ細胞は炎症刺激に耐性があり、精巣の他の構成細胞よりも精巣の恒常性を維持する上で大きな役割を果たしている可能性が示唆された。
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