研究課題/領域番号 |
19K18376
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
下田 由輝 東北大学, 大学病院, 助教 (30815444)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 脳神経外科手術 / 術中機器開発 / 血流動態 / 脳動静脈奇形 / 脳腫瘍 / 過灌流症候群 |
研究開始時の研究の概要 |
脳神経外科術中には、血管が病変を灌流する異常血管で凝固切断すべきか、正常脳組織を灌流し閉塞により後遺症を生ずるため温存すべきかの判断に難渋することが少なくない。異常血管を識別する手法として、術中に血液中に造影剤を流す方法が用いられることがあるが、判断の一助になるものの、正確さや簡易さの点で十分ではない。本研究では、術中に超小型超音波を血管に当てることで得られるデータを解析し、異常血管に特異的に見られる所見を特定できるか検証する。異常血管と正常血管を正しく識別する手法を開発することができれば、侵襲性が低く、安全性の高い手術が実現する可能性がある。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、超小型超音波血流計を用いた術中に温存すべき血管の識別法の開発である。脳神経外科術中では血管が病変を灌流する異常血管であり、凝固切断が可能か、正常脳組織を灌流し、閉塞により後遺症を生ずるため温存すべきかの判断が、他の分野に比較して、特に重要である。その理由として、脳では機能が局在しており、他の場所による代償が効かないことが挙げられる。その識別方法として、R元年度には超小型超音波血流計で測定される波形を模擬モデル実験および理論解析を行い波形解析で特徴量となり得る要素を明らかにし、R2年度に血管吻合パターンの異なる動物実験異常血管網モデルを用いて検証した後、R3年度に臨床例で独立成分解析法を用いた波形解析を行うことによりdicrtotic notchを含めた特徴量を抽出し、特異度の高い識別法を開発することを予定。本研究の開始当初は、術中に出現する血管にドップラー血流計を直接あて、ある一定時間その状態を保つことにより、血流速度を計測し、実際3症例で計測を行い、順調であった。しかし、症例数を重ねるにつれて、術前の病変部塞栓術の有無や、術者の腕によってデータの取得が不安定となることが明らかとなってきた。前回までに、血管内カテーテルを用いた圧波形データの測定から、シャント血流を予測する方針へと切り替えていた。しかし、ここでも問題が生じ、とくに細い血管では、細いカテーテルを圧派が伝わる際に、高周波数成分が減衰することが明らかとなり、ターゲットとしたいDicrotic notchが消退してしまうという問題に直面した。よって、現在は、太い血管をターゲットに、この技術を他の疾患(もやもや病、頸部内頚動脈狭窄症など)に応用できる可能性を探っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前回、報告から、その後も同様の方法(血管内カテーテルを用いた動脈内圧の測定と術中超音波を用いた血管の血流測定)を用いた新たな症例を持っている状態である。シャント疾患自体が希少疾患である上に、本研究で狙っている圧波形が十分な状態で記録できるほどの太さの血管でのシャント疾患はさらに希少である。 そのため、十分な症例のデータ収集ができない現状である。 一方で、内頸動脈狭窄症例に対するステント留置術を行う前後での血流の変化については、症例が蓄積されている。
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今後の研究の推進方策 |
思うように症例数が伸びていっていない現状があり、今後は多施設において、症例を集める必要があると考え、準備を進めている段階である。
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