研究課題
若手研究
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)とは中性子とホウ素の非放射性同位体(10B)の核反応を用いた放射線治療法の一種であり、2017年より治験も開始された優れた癌治療法である。本研究はBNCTに用いる新規薬剤の開発研究である。申請者が合成に成功した新規ホウ素化合物(BAMP)の各細胞種への影響、腫瘍集積性およびBNCTを行なった際の細胞障害性、抗腫瘍効果について検証し、BNCTの治療効果のさらなる改善を目指す。本研究の成果によりBNCT用薬剤としてBAMPの臨床応用に道筋をつけ、BNCTが脳腫瘍に対する治療の第一選択となるようなQOL(Quality of Life)の高い治療法として実現させる。
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)のための新規ホウ素薬剤(BAMP)の開発に成功した。BAMPは細胞実験において、現在臨床で用いられているホウ素薬剤(BPA)よりも低毒性であることが示唆された。また、動物実験において、BPAと同等の治療効果が得られ、その治療効果は用量依存的であることが確認された。さらに、BAMPは高水溶性であることからBPAと異なり投与量の増量が容易である。よって本研究により、BAMPがBNCTにとって、BPAに代わる新たなホウ素薬剤として期待できる成果が得られた。
2020年3月に頭頸部癌を対象として、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)用中性子照射装置ニューキュアTMおよびBNCT用医薬品ステボロニン(BPA)が世界で初めて製造販売承認を取得した。今後は適応拡大のフェーズに至ると考えているが、臨床研究において脳腫瘍などでは再発例が多いことが知られている。BAMPは本研究においてBPAと同等以上の抗腫瘍効果を得ており、BNCTにおける第一選択薬として期待できる。さらに、現在までにステボロニンを用いたBNCTで癌の縮退が見られなかった患者や再発患者においても応用できる。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 2件)
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