研究課題/領域番号 |
19K18426
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高野 浩司 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (90649203)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 脳腫瘍 / 神経膠腫 / 免疫療法 / PDX / ヒト化マウス / WT1 / ペプチドワクチン / PD-1 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は免疫系をヒト化したマウスに患者由来の脳腫瘍を移植した「免疫系ヒト化担脳腫瘍PDXマウスモデル」を作成し、このモデルを用いて実際に免疫療法を行うことで、既存の動物実験モデルや臨床試験での結果との相違を明らかにすることを目的とする。具体的には、我々がこれまでに既存の動物実験モデルで行ってきた、WT1ペプチドワクチン療法、PD-1抗体療法、及び、それらの併用療法をこの新規動物実験モデルで行う。免疫療法の有効性の検証はもちろん、腫瘍局所や全身における免疫応答を解析し、本動物実験モデルの有用性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
通常、免疫療法に関する動物実験では実験動物由来の腫瘍細胞株を同系移植したモデルが用いられる。しかし、「ヒト」悪性脳腫瘍に対する免疫療法を確立するためには、「ヒト」由来の脳腫瘍細胞を用いて作成した「ヒト」免疫系を持つ実験動物を用いて実験することが望ましい。本研究ではそのような免疫系ヒト化担脳腫瘍PDXマウスモデルを作製し、これを用いて実際に各種免疫療法を試し、既存モデルでの解析結果と比較して相違を明らかにすることを目的とする。 これまでに、過去のWT1ペプチドワクチン療法(WT1療法)の臨床試験で得られた腫瘍組織検体の追加解析を行い、WT1療法においてはWT1蛋白の発現維持が重要であること、免疫チェックポイント阻害剤との併用が有用である可能性があることを報告した(Cancer Immunol Immunother, 2022)。さらに、既存の同系移植マウスモデルを用いてWT1ペプチドワクチン・PD-1抗体併用療法の有効性を検証する実験を行い、併用療法によって相乗効果が得られること、また、それぞれの治療ががん・免疫サイクルの異なる段階で作用していることを報告した(Neuro-oncology Advances, 2021)。一方、免疫系ヒト化担脳腫瘍PDXマウスモデルの作製については、複数の悪性神経膠腫PDXを作成し、免疫系ヒト化マウスについても準備を行った。悪性神経膠腫PDXに対する蛍ルシフェラーゼ遺伝子の導入にも取り組んでいる。今後はこのPDXを用いて作成した免疫系ヒト化担脳腫瘍PDXマウスモデルを用いて免疫療法を行い、上述の臨床試験で得られたデータ、同系移植マウスモデルで得られたデータとの比較を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床研究で得られた腫瘍組織検体の解析や既存の同系移植マウスモデルを用いた実験について、論文投稿にあたり追加解析や追加実験が必要となったため予定よりも論文掲載までに時間を要した。また、悪性神経膠腫PDXに対する蛍ルシフェラーゼ遺伝子の導入にも時間を要している。さらにCOVID-19の影響で実験に制限があったことも、研究の遅れの原因となっている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き悪性神経膠腫PDXの作製とその特徴の解析、蛍ルシフェラーゼ遺伝子の導入を進める。さらに免疫系ヒト化担脳腫瘍PDXマウスモデルを用いて免疫療法を行う実験を進める。
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