研究課題
若手研究
パーキンソン病(PD)はアルツハイマー型認知症に次いで2番目に多い神経変性疾患であり、未だ根本的治療が存在しない難病である。病初期は薬物治療が、進行期では脳深部刺激療法(DBS)が奏功するが、手術を受けることができない患者も多く存在し、低侵襲で効果の高いニューロモデュレーション治療の開発が望まれる。迷走神経刺激療法(VNS)は難治性てんかんに対する緩和的外科治療であるが、最近基礎研究でVNSが正常ラット脳の細胞外ドパミン濃度を増加させると報告された。In vivoレベルでの研究はなく、我々はPDモデルラットを用いて、VNSの効果を検討し、PDの新たな治療法を展開する。
パーキンソン病モデルラットに対する迷走神経刺激療法(VNS)では0.25mAと0.50mAの低強度刺激で最大の運動症状改善が得られた。また線条体、黒質緻密部におけるドパミン神経細胞、神経繊維の保護効果ならびに、青斑核におけるノルアドレナリン神経細胞の保護効果が確認された。臨床ではVNSは低侵襲かつ高額設備を要さず比較的簡便に施行できるため、低強度刺激によるVNSはPDへの新たな治療戦略になり得ると考える。また、本研究を通じて、新規開発した電気刺激装置は刺激調節性・刺激連続性に優れ、小型軽量のため小動物への侵襲性とストレスが大幅に軽減された実験が可能と考える。
迷走神経は全身に広く分布されており、VNSの正確な機序については不明点が多いのが実情である。今後は迷走神経の上行性・下行性線維をそれぞれ刺激し、炎症性サイトカイン、アセチルコリン受容体の発現動態の評価を追加で行う予定である。近年では、PDの発症と腸管炎症の関連性、腸脳相関が注目されており、腸管炎症モデルを使用した実験も病態解明に有効と考える。また、当科はPDモデルへ新規システムを使用した脊髄刺激実験も施行している。外科的な低侵襲治療の開発に向けて、複数の電気刺激実験を並行して施行する計画である。
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