研究課題/領域番号 |
19K18603
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
藤田 尚紀 弘前大学, 医学研究科, 講師 (00792318)
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研究期間 (年度) |
2021-03-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 原発性アルドステロン症 / cfDNA / バイオマーカー / ヒアルロン酸 / 糖鎖 / Cell free DNA / Liquid biopsy / cell free DNA |
研究開始時の研究の概要 |
原発性アルドステロン症は治療抵抗性の高血圧患者の20%を占める。原発性アルドステロン症は外科的処置(腹腔鏡下手術)で治癒が期待できる二次性高血圧であるが、手術後も遷延する高血圧症が約半数に見られ、治療効果が十分とは言い難く、治療効果を正確に反映するバイオマーカーの確立が望まれている。本研究では、治療抵抗性や治療効果を反映する糖鎖構造やcell free DNA(cfDNA)を血液サンプルの網羅的解析から定量検出するLiquid biopsy法の確立を行う。更に摘出組織と比較することにより、Liquid biopsyのサロゲートマーカーとしての有用性を検証する。
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研究実績の概要 |
原発性アルドステロン症(PA)は2次性高血圧の中で最も頻度の高い疾患である。副腎摘除術で治癒が期待できるが、術後も遷延する高血圧症が約半数に見られ、その予測因子は明らかになっていない。我々はこれまで、各泌尿器科疾患における糖鎖解析により、新規バイオマーカーの開発を世界に先駆け発表してきた。この基盤を活用し、PA患者におけるCell free DNA(cfDNA)を抽出し、PAに伴って変化する糖鎖や遺伝子変化(CYP11B2 gene polymorphism等)、血管石灰化に関与する因子(osteopontin, osteocalcin, Runx2, Msx2等)の検出を行うことで、病状や治療抵抗性の分子機構を解明し、新規バイオマーカーを開発することを目的とする。2021年から副腎腫瘍患者の血液採取を開始し、順次解析を行っている。現在45名程度のsampleが集まり、血漿を分離、cfDNAを抽出する作業を行っている。抽出されたcfDNA総量は測定可能であることが確認された。PAに伴って変化する糖鎖や遺伝子変化(CYP11B2 gene polymorphism等)、血管石灰化に関与する因子(osteopontin, osteocalcin, Runx2, Msx2等)のコピー数の測定を進めている。また、我々はグリコサミノグリカンの一つであるヒアルロン酸の代謝に関して研究を行い、Transmenmbrane protein 2 (TMEM2)が細胞外ヒアルロン酸の代謝を担っていることを世界に先駆けて報告した。PAではヒアルロン酸合成酵素であるHAS2やヒアルロン酸分解酵素であるTMEM2の発現が共に低下しており、ヒアルロン酸代謝異常が発症に関与している可能性がある。この可能性を追求するため、手術摘出標本のFFPE切片を作製し検討を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、45例程度のsampleが集まり、順調に解析が進んでいる。しかし、コロナ禍における世界的な試薬不足などにより、実験のペースはやや遅れている。その中でも、抽出されたcfDNAにおける総量は測定可能であることが確認された。さらに、PAに伴って変化する遺伝子変化(CYP11B2 gene polymorphism等)、血管石灰化に関与する因子(osteopontin, osteocalcin, Runx2, Msx2等)のコピー数の測定を進めている。また、手術摘出標本のFFPE切片の作製を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
抽出されたcfDNAにおける遺伝子変化(CYP11B2 gene polymorphism等)、血管石灰化に関与する因子(osteopontin, osteocalcin, Runx2, Msx2等)のコピー数をddPCRにて測定する。また、網羅的糖鎖解析装置によるPA患者の血清糖鎖プロファイリングを行い、PAに関与する糖鎖、術後高血圧症が改善しない群に特徴的な糖鎖変化を同定する。同定された糖鎖構造を認識するレクチンを用いて、手術標本によるアルドステロン産生腫瘍内の糖鎖構造発現を検討し、レクチンアレイ、レクチンによる免疫染色を用い、糖鎖構造変化の由来を検討する予定である。また、手術摘出標本のFFPE切片を作製し、hyaluronan-binding proteinによるヒアルロン酸の染色、抗HAS2抗体および抗TMEM2抗体による染色を行う。また、我々は全身の細胞でTMEM2がノックアウトされるコンディショナルノックアウトマウスを保有しているため、副腎を採取しフェノタイプを確認する予定である。
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