研究課題/領域番号 |
19K18620
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
井手 広樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (70365360)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 膀胱癌 / 放射線 / 性ホルモン受容体シグナル / 放射線照射 / エストロゲン受容体 / アンドロゲン受容体シグナル / エストロゲン受容体シグナル / 放射線性膀胱炎 / 放射線治療 |
研究開始時の研究の概要 |
浸潤性膀胱癌の放射線治療は、奏効率が十分ではなく、放射線性膀胱炎等の難治性合併症が原因で、手術に置き換わっていない。放射線抵抗因子としてDNA修復やアポトーシス関連遺伝子の関与が示され、それらがAR,ERシグナルと関与している。まず、ARノックダウン、抗アンドロゲン剤(HF)併用による放射線感受性の増強がAR陽性膀胱癌細胞株で示され、HFがDNA修復を有意に遅らせた。また、前立腺癌放射線照射前後の内分泌療法が、膀胱出血の発生を有意に抑えるというデータも得た。そこで、今回、性ホルモン受容体と放射線感受性の関連を評価し、網羅的に放射線感受性に寄与する遺伝子を評価し、特異的かつ効率的な治療を目指す。
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研究成果の概要 |
ヒト膀胱尿路上皮細胞株 5637、T24においてエストロゲン受容体(ER)βの発現を確認できた。 その細胞でタモキシフェンの投与並びに、ERβノックダウンによる放射線感受性の有意な増強効果を認めた。次に、雌の皮下腫瘍モデルにて、コントロール群、タモキシフェン単剤、放射線単独療法群、併用療法群の4群に分けた。コントロール群とタモキシフェン単剤とは腫瘍体積の有意差を認めなかったが、併用群は放射線単独療法より有意に強い抗腫瘍効果を認めた。 更に、5637細胞においてエストロゲン投与と非投与下での放射線照射を行い、遺伝子発現の比較を行い、投与群に有意に上昇したDNA修復関連遺伝子を認めた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
転移のない浸潤性膀胱癌の標準治療として、膀胱全摘除術があがるが、侵襲度が高く高齢の患者に負担を強いること、尿路変更を要するため、術後のQOLが著しく低下する問題点があげられる。近年、化学療法併用放射線治療が膀胱全摘除術に匹敵するが、十分ではなく非奏功例の後治療が困難を極める。今回の実験で、性ホルモン受容体シグナルと放射線感受性の実験の関連が明らかになり、性ホルモン受容体阻害剤を併用することで膀胱癌における放射線感受性の増強が期待され、現状の問題点が解決される可能性がある。
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