研究課題/領域番号 |
19K18661
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
山谷 日鶴 山形大学, 医学部, 客員研究員 (40550637)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 卵巣癌 / スルファサラジン / グルタチオン / アポトーシス / フェロトーシス / 細胞死 / パクリタキセル / 薬剤耐性 / 薬剤抵抗性 |
研究開始時の研究の概要 |
再発卵巣癌は、初回は効果を認めた化学療法が再発時には効かなくなる、薬剤抵抗性を示し、治療困難となることがある。 がん細胞が薬剤抵抗性を示す機序の一つに、抗癌剤によって産生される活性酸素を抗酸化物質であるグルタチオン(GSH)が抑制するという機序がある。申請者らは、GSHの産生に関わるシスチントランスポーターの阻害作用を持つ、スルファサラジン(SAS)の細胞死誘導機序として、フェロトーシスがあることを新たに見出した。本研究では、SASが卵巣癌における薬剤抵抗性を解除するか、さらにその細胞死誘導機序がフェロトーシスであるのか、またSASが卵巣癌に対する新規治療薬となり得るかを検討する。
|
研究成果の概要 |
卵巣明細胞癌ではシスチントランスポーター(xCT)阻害剤であるスルファサラジン(SAS)と併用効果が高い薬剤はパクリタキセル(PTX)であった。さらに、PTXとSASの併用投与によって細胞内GSHが低下し、ROSの蓄積が高度に増強する細胞ではアポトーシスが誘導され、glutathione peroxidase 4(GPx4)の発現が低い細胞ではフェロトーシスが誘導された。また、メチオニンからGSHが産生する経路の律速酵素であるcystathionine gamma-lyase (CGL)の発現が高い細胞ではPTXとSASによる細胞死が誘導されないことが明らかになった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
卵巣癌の化学療法としてプラチナとタキサン製剤の併用療法(TC療法)が標準療法として確立されている。しかしながら、TC療法無効症例やTC療法に対して耐性を獲得した再発例に対する新規治療法はなく、その開発が急務となっている。本研究ではスルファサラジンとパクリタキセルの併用投与は卵巣明細胞癌細胞株において細胞死を誘導した。スルファサラジンは既に臨床応用されている薬剤であり、薬剤抵抗性となり治療選択肢が少ない症例に対して新たな治療法となり得る可能性がある点で学術的、社会的意義がある。
|