研究課題/領域番号 |
19K18670
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉村 明彦 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (10823528)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | cfDNA / 卵巣癌 / PIK3CA / Digital PCR / liquid biopsy / TP53 / Cell free DNA / 高異型度漿液性腺癌 / デジタルPCR / 子宮内膜症関連卵巣癌 |
研究開始時の研究の概要 |
卵巣がんはその発見の難しさゆえに予後不良である。手術療法、薬物療法には限界があり、予後の抜本的な改善のためには早期発見しかない。がん患者の血漿中には,がん由来のcell-free DNA (cfDNA) が存在することは,以前より知られている。近年のデジタル PCR や次世代シーケンサーなどの革新的な進歩によりこれまで不可能と考えられていた cfDNA のゲノム異常を検出することが可能になった。本研究では、デジタルPCR法という最先端の技術を婦人科悪性腫瘍の診断に導入するための基礎研究を行う。特に卵巣がんの分子生物学的特性に焦点を当て発生原因に個別化した診断方法の確立を目指す。
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研究成果の概要 |
27症例の治療前の子宮内膜症関連癌(明細胞癌と類内膜腺癌)患者と良性の子宮内膜症性嚢胞患者51例より、血漿および手術時の組織切片を回収し、組織および血漿よりDNA を抽出し、組織DNAのNGSによる解析で同定できたPIKCA変異が血漿のDigital PCR法で検出できるか検討した。明細胞癌17例のうち、患者血漿中のPIK3CAのH1047R変異は5例(29%)で同定でき、10例の類内膜腺癌のうち、患者血漿中のPIK3CAのH1047R例変異は2例(20%)で同定できた。一方で51例の良性子宮内膜症組織では1例(2%)にH1047R変異を認めたが、血漿中では1例も変異を認めなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
子宮内膜症は約10%の有月経女性に発生する疾患でCommon Disease である。その約 0.7 % が将来的に癌化するが、現時点では臨床上有用なバイオマーカーが存在しない。子宮内膜症および関連癌患者におけるDigital PCR 法による血漿中のPIK3CAの H1047R変異同定は、感度こそ27%と低かったが、特異度は75%と高く、陽性適中率は100%であった。癌遺伝子の変異のHot spotを組み合わせることにより、感度の向上は可能であり、Digital PCR 法による血漿中の癌遺伝子変異同定は卵巣癌診療における新たなLiquid Biopsy法として有用である可能性が示唆された。
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