研究課題/領域番号 |
19K18693
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
芳川 修久 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (60804747)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | p53 / DDIT4 / プラチナ感受性 / 卵巣癌 / 子宮頸癌 / 子宮体癌 / 組織内プラチナ分布 / LA-ICP-MS / 腹膜播種 / 細胞外小胞 / エクソソーム |
研究開始時の研究の概要 |
卵巣癌の腹膜播種には、上皮間葉転換や癌幹細胞様形質の獲得といった癌細胞自身の悪性形質に加えて、エクソソーム等を介した細胞間コミュニケーションに依存した好腫瘍性の腹膜微小環境の構築が重要な役割を果たしている。特に高悪性度漿液性癌では、ほぼ全例でTP53変異を認め且つその大部分がミスセンス変異による変異型p53タンパク(以下、変異型p53)の蓄積を伴うこと、変異型p53が癌細胞の悪性形質を促進する機能を有することが示されてきた。 本研究では、p53変異卵巣癌由来エクソソームを介した腹膜播種の進展メカニズムを解明し、以て新規治療法の開発へとつなげることを最終的な目標としている。
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研究成果の概要 |
p53の活性化に伴って上昇するDDIT4の悪性形質への影響を評価した。DDIT4の発現抑制により増殖抑制効果やシスプラチン抵抗性・遊走能・浸潤能が有意に変化した。臨床検体の免疫染色ではリンパ管侵襲やリンパ節転移といった悪性予後と相関する臨床病理学的因子とDDIT4発現に有意な相関関係を見出した。悪性形質に関与するNFκBパスウェイとの相関を同定した。DDIT4抑制細胞株をヌードマウス腹腔内に投与して転移能が抑制された。また、p53変異を伴う卵巣高異型度漿液性癌におけるプラチナ製剤耐性化同定できるバイオマーカーとして、組織内プラチナ分布が有用となることを、LA-ICP-MSを用いて明らかとした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では婦人科悪性腫瘍に関して基礎的・臨床的・Translationalな観点から幅広く実施した。卵巣癌においては特にLA-ICP-MSを用いて世界で初めて卵巣癌の予後と抗癌剤感受性を予め予測できるという例を見ない研究成果を達成した。これは卵巣癌患者の適切な薬物選択による予後改善を期待できるという点において社会的意義が大きい成果となった。p53を介して発現の誘導されるDDIT4の意義について婦人科悪性腫瘍で積極的に解明を試みた。悪性形質への寄与メカニズムとしてNFκBが中心となっていることを示すデータが得られており臨床データとも一貫する内容であり、学術的に意義のある結果となった。
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