研究課題/領域番号 |
19K18745
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中村 伸太郎 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (30649976)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 頸動脈小体腫瘍 / CBT / SDH / 遺伝性腫瘍 / SDH遺伝子 / 傍神経節腫 / 遺伝子変異 / VEGF |
研究開始時の研究の概要 |
頸動脈小体腫瘍(Carotid Body Tumor:CBT)は稀な疾患であり、その病態解明は大幅に遅れている。治療法は手術のみで、大量出血や脳梗塞などリスクを伴う。また手術不能例や予後不良な悪性症例が存在し、化学療法など手術以外の治療法の開発が必要である。 一方で、家族性傍神経節症候群にみられるSDHx遺伝子変異がCBT症例にも認められ、その病態に関わると考えられる。SDH機能不全がHIF-1αの細胞内蓄積を引き起こし、VEGF/VEGFR系など血管新生因子の発現が亢進し、CBTが進展するという仮説のもと、CBTの臨床検体を用いて細胞株の樹立、Xenograftモデルマウスを作成し、その発症・増大・悪性化機序の解明を行う。
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研究成果の概要 |
頸動脈小体腫瘍は遺伝性腫瘍として知られるが、日本における遺伝学的な特徴は十分解明されていない。本研究では、頸動脈小体腫瘍患者から採取した DNA を解析することにより、4 種類の原因遺伝子が判明した。また、その他のがん関連遺伝子にもDNA の変化を検出した。さらに頸動脈小体腫瘍のタンパク発現の解析を行った結果、一部には遺伝子変異を発症の原因とする腫瘍がある一方、その他の発症原因の存在を示す腫瘍も認めた。本研究グループが今回明らかにした頸動脈小体腫瘍の臨床遺伝学的背景は、今後の研究の発展により新たな治療法の開発に応用できる可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究グループが明らかにした CBT の臨床遺伝学的背景は、本腫瘍の正確な診断と遺伝カウンセリングに活用できる。さらに 2022 年には、頭頸部に発生する傍神経節腫を対象として「日本頭頸部傍神経節腫研究会」を立ち上げた。CBT を始め、迷走神経傍神経節腫やグロムス腫瘍をふくめた頭頸部に発生する傍神経節腫全体に研究を拡大することで、腫瘍の発症や進展に関わるメカニズムの解明を目指す。これらの成果が将来には新規の治療法開発につながることを期待する。
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