研究課題/領域番号 |
19K18780
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 (2021-2022) 京都大学 (2020) 京都府立医科大学 (2019) |
研究代表者 |
岡本 志央 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (10838139)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
|
キーワード | 蝸牛有毛細胞 / 運命決定 / 接着斑 / 蝸牛 / 収斂伸長 / 有毛細胞平面内細胞極性 / focal adhesion kinase / 平面内細胞極性 / Intestinal Cell Kinase / ICK / 細胞支持構造 / CRISPR/Cas / 耳胞 / エレクトロポレーション |
研究開始時の研究の概要 |
繊毛は器官の形成や恒常性維持に重要な役割を果たしており、繊毛の機能障害により繊毛病と呼ばれる一群の症候群が生じることが知られている。以前から申請者はintestinal cell kinase(ICK)が内耳有毛細胞において繊毛輸送を制御し、平面内細胞極性に関与することを明らかにしてきた。ICK KOマウスの有毛細胞では不動毛の配列方向と動毛の位置に解離が観察されたが、前者と後者の関連性は不明である。そこで申請者は、ICKが有毛細胞頂面下の微小管とアクチンフィラメントのネットワーク形成を制御することにより、動毛と不動毛の位置決定に関与するとの仮説をたて、本研究において立証することを試みる。
|
研究成果の概要 |
聴覚を司る蝸牛の螺旋構造は、様々な周波数の音を受容する上で重要であるが、これは収斂伸長(CE)と呼ばれる細胞運動により形成される。また蝸牛有毛細胞表面上の平面内細胞極性(PCP)と呼ばれるアクチン突起の非対称性構造により精緻な音の聴取が可能となる。蝸牛において、CEや有毛細胞のPCPは、繊毛により制御されることが知られているが、両者に共通する制御機構については未解明である。本研究では、基質-細胞間に存在する接着斑の構成要素に着目し、その制御機構を解明することを試みた。予想とは異なり、興味深いことに、接着斑構成要素はCEや有毛細胞のPCPではなく、有毛細胞の運命決定に影響することが判明した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、細胞外からの機械的刺激が細胞の増殖、分化、移動などを制御することが知られているが、蝸牛の発生における機械的刺激の役割については、その多くが未解明である。本研究は、細胞-基質間に存在する接着斑を介した機械的刺激が、聴覚受容に必須である有毛細胞の運命決定に重要な役割を果たす可能性を明らかにした点で学術的意義がある。また今後、機械的刺激が有毛細胞の運命決定を制御するメカニズムについて明らかにすることにより、現時点では未解明である、有毛細胞障害により一旦失われた聴覚を、意思疎通が可能となるレベルに回復させる手法の解明に大きく貢献できる可能性を秘めており、社会学的にも意義があると考えられる。
|