研究課題/領域番号 |
19K18790
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
福田 篤 北海道大学, 大学病院, 医員 (70609742)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 後天性中耳真珠腫 / Notchシグナル / 耳鼻咽喉科学 / Notch1 / HES1 / p53 / 後天性真珠腫 / EGFR / Notch / Ki67 / 中耳真珠腫 / ゲノム / プロテオーム |
研究開始時の研究の概要 |
後天性中耳真珠腫は、角化扁平上皮の異常増殖により側頭骨中耳に生じる境界明瞭な非腫瘍性病変である。局所浸潤性があり、頭蓋内に進展した場合は合併症により死亡する可能性がある。発症原因は未だ明確にされておらず、依然として根本的治療は外科的治療のみである。当研究では真珠腫における増殖・骨溶解シグナル伝達機構についてゲノム・プロテオーム解析を軸にして網羅的に解析し、増殖・骨溶解シグナル伝達およびそのシグナル伝達系相互のクロストークに関連した分子群を同定する。真珠腫発症・増殖・骨溶解メカニズムを分子生物学的側面から解明し、分子標的治療法開発の基盤を確立する。
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研究成果の概要 |
真珠腫組織を用いてPCR法によるNotchシグナル関連遺伝子の発現分析と免疫組織化学染色によるNotchシグナル関連タンパクの発現分析を施行したところ,正常外耳道皮膚に比べて真珠腫組織におけるNotch1遺伝子の発現は有意に低下し,HES1遺伝子の発現の低下もみられた.さらに,Notch1とHES1タンパクの発現は,正常外耳道皮膚に比べて有意に低下していた.Notchシグナルはケラチノサイトの増殖停止と分化を導くことが報告されているが,真珠腫におけるNotch1とHES1の発現低下は,ケラチノサイトが分化から増殖へとバランスを変化させ,病的状態の原因を引き起こしている可能性がある.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
後天性中耳真珠腫における角化扁平上皮の異常増殖性に関して,Notch1とHES1の発現低下が病態生理に関与している可能性が本研究にて明らかになった.このことから,Notchシグナル関連分子に着目することで,後天性中耳真珠腫に対する新たな治療戦略がみつかる可能性がある.後天性中耳真珠腫の発症原因は未だ明らかではなく,依然として根本的治療は外科的治療のみであるが,新たな標的分子,シグナル伝達機構を解明することができれば,今後の後天性中耳真珠腫治療におけるbreak throughとなり,真珠腫に対する非外科的治療法開発へ大きな一歩となることが期待される.
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