研究課題/領域番号 |
19K18822
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
石倉 友子 金沢医科大学, 医学部, 助教 (90769118)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 嗅覚障害 |
研究開始時の研究の概要 |
におい刺激により嗅覚系ニューロンの再生が亢進するのか、さらに、におい刺激により神経性嗅覚障害の有意な回復が得られるとすれば、どのようなメカニズムで回復するのかを実験動物(マウス)を用いて組織化学的ならびに遺伝子発現の視点から解析する。 また、アルツハイマー病では嗅覚が低下することが知られており、アルツハイマー病の責任病巣である海馬も、嗅球から繋がる嗅覚経路の一つであり、海馬の病巣が本疾患の嗅覚低下の一因とも考えられる。本研究では、海馬における再生も同時に観察することができ、将来的ににおい刺激が嗅覚の改善、ひいてはアルツハイマー病の治療にもなる可能性を探る。
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研究成果の概要 |
マウスの空間の明暗に対する嗜好性質を組み込んだにおい刺激装置を開発し、忌避行動を観察した。嗅神経を障害する薬剤として知られているメチマゾールの腹腔投与で嗅上皮障害モデルを作成した後、4種のにおい刺激を14日間実施・嗅覚改善の観察に行動実験を行った。におい刺激の有無で嗅覚忌避行動に有意差は認めなかったことから、次いで、皮下脂肪由来幹細胞の経鼻移植研究を行った。移植14日後に、嗅覚忌避行動回復促進と脂肪由来幹細胞移植群での嗅上皮の成熟嗅細胞増加を認めた。今回使用した脂肪由来幹細胞の細胞調整液上清に嗅覚機能に重要とされる神経成長因子の濃度の増加を認めた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
嗅覚と認知機能の関連が過去にも指摘されていることから、嗅覚機能維持・向上によって認知機能低下防止を図るべく嗅覚障害治療の治療方法を検討した。人への嗅覚刺激療法と同等のにおい刺激では明らかな嗅覚障害改善を確認できず、嗅覚刺激療法の効果を高める治療法として、脂肪由来幹細胞投与を挙げた。嗅上皮傷害モデル動物での脂肪由来幹細胞の経静脈投与による嗅上皮再生促進が報告されてきたが、経静脈投与で懸念される侵襲・血栓形成リスクを払拭すべく経鼻投与を試行し、脂肪由来幹細胞の経鼻投与が嗅覚障害治療の選択肢となりうる可能性が示唆された。
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