研究課題/領域番号 |
19K18854
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
長田 秀斗 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 研究員 (50748770)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 網膜色素変性症 / 脂質代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
生活習慣病や臓器機能不全に由来する代謝異常は、網膜の神経変性を引き起こすが、これらは不可逆的変化であり現状治療法はない。網膜は脂質を多量に含有し、形態や光受容体という機能の維持には特定の脂肪酸が必須であることが示唆されている。これら脂肪酸は食物由来であり、多くの臓器による代謝の過程を経て網膜に輸送されるが、肝臓や脂肪の疾患に端を発するような脂質代謝異常が網膜に与える影響には未だ不明な点が多い。本研究では全身の代謝異常に起因する網膜変性の発症機構に関して、組織間を仲介する遠隔メッセージ物質として脂質に着目し、全身性の代謝異常による網膜神経変性を脂質が仲介する機構を明らかにする。
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研究成果の概要 |
代謝制御に寄与するアディポネクチン1型受容体(Adipor1)は機能阻害によって網膜色素変性症を呈することが知られているため、Adipor1ノックアウトマウスの網膜および血清を用いてリピドミクス解析を行った。網膜では視細胞外節の形成に重要なDHAを含む脂質の著しい低下を認めた。一方で血清中の脂肪酸の顕著な変化は認めなかった。視細胞内節において発現が認められる脂肪酸伸長酵素Elovl2の発現が低下していた。同時に、脂質合成に関与する多くの遺伝子群の発現が変化しており、Adipor1ノックアウトマウス網膜における局所的な脂質動態の変化が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生活習慣病や臓器機能不全に由来する代謝異常は、糖尿病網膜症をはじめとする網膜の神経変性を引き起こすが、これらは不可逆的変化であり現状治療法はない。網膜は脂質を多量に含有し、形態や光受容体という機能の維持には脂肪酸が必須であることが示唆されている。本研究では網膜変性時の全身および網膜局所の脂質動態の変化を解析することにより、脂質代謝の異常に伴う網膜変性の発症メカニズムを検討した。全身性に変化する物質をとらえることはできなかったものの、網膜局所の脂質動態変化と新たな網膜変性の発生機構を示すことができた。
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