研究課題
若手研究
光音響イメージングとは、非侵襲的に微細な血管・リンパ管の3次元画像が得られる、新たな画像診断技術である。従来の画像検査では定性的な評価はできたが、リンパ液の流量は分からなかった。光音響イメージングでは、1本1本のリンパ管の径や流速の測定が可能である。径と流速の値からは、リンパの「体積流量」を導き出すことができる。本研究では、光音響イメージングによるファントム試験、臨床試験をおこない、リンパ流を記録する。そして体積流量を算出することで、リンパ液の流量を定量的に評価できる。はじめての指標としての妥当性と有用性を検証する。
光音響イメージングによるリンパ流の定量的評価を行うことを目指し、シリコンチューブでリンパ管を再現したファントム試験と、ヒトを対象とした撮影を実施した。ファントム試験では、管腔の線像を3次元的に観察すると、断面は円形ではなく弧状に描出される場合が多かった。ヒトを対象とした撮影では、健常者において、周期的な集合リンパ管におけるリンパ流が観察され、その瞬間においては、流量の算出が可能であった。ただしその値は、同一リンパ管のリンパ流ごと、同一被験者のリンパ管ごと、被験者ごとにバラつきが大きく、また計測者間における算出値の再現性にも乏しく、ただちにリンパ管機能の指標として用いるには課題があった。
本研究では、四肢のリンパ浮腫に対する外科的治療であるリンパ管細静脈吻合術において、より吻合に適する平滑筋の機能が十分に残存したリンパ管を同定するため、その機能を流量の指標で定量評価することを目指した。本研究を通じて1本1本のリンパ管の瞬間的な体積流量を算出することは可能であったが、リンパの流れには変動が大きく、流れ方に影響しうる条件も多様であり、計測のタイミングによって体積流量の値には大きなバラつきがあった。本指標をそのままリンパ管の機能を表すことは困難であるが、1本のリンパ管におけるリンパ流の状況を瞬間的にでも定量的に示したことには、学術的な意義があったものと考えられる。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
Plastic & Reconstructive Surgery
巻: 146 号: 2 ページ: 234e-235e
10.1097/prs.0000000000007012
Journal of Surgical Oncology
巻: 121 号: 1 ページ: 48-50
10.1002/jso.25575