研究課題/領域番号 |
19K18970
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
高橋 有希 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (30778626)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 低ホスファターゼ症 / 胎児治療 / 遺伝子治療 / アルカリホスファターゼ / 骨系統疾患 / アルカリフォスファターゼ / アデノ随伴ウイルスベクター / 先天性疾患 / 先天性骨系統疾患 / 酵素補充療法 / 硬組織 |
研究開始時の研究の概要 |
低ホスファターゼ症は硬組織の石灰化不全、呼吸困難、痙攣発作を主徴とする遺伝性疾患である。本邦においては重症型の頻度が高く、これらは胎生期に症状が進行し、死産または出生直後に死亡、あるいは出生した場合でも、重篤な呼吸機能不全を伴うことが一般的である。現在、酵素補充療法が行われているが、長期反復投与の必要があり、また侵襲性も高い。そこで、アデノ随伴ウイルスベクターによる胎児治療実験が行われたが、組織非特異的プロモーター制御であるために予期せぬ副作用がおこる可能性がある。 したがって本研究課題では、筋特異的プロモーター制御下に胎児遺伝子治療を行うことで、治療効果および安全性に関して検証する。
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研究成果の概要 |
麻酔下に、胎齢15日から18日の母体マウスを開腹し、子宮膜上から作製したAAV-eMCK-ALPを胎仔の腹腔内に投与し、胎児治療を行った。その結果、治療したHPPモデルマウスは正常な体重増加が生じ、痙攣発作をなく、未治療HPPモデルマウスと比較し、治療マウスは大幅に生存率が改善した。また、血清ALP活性の上昇および大腿骨の形態不整の改善が確認された。さらに、AAVベクターの分布を確認したところ、腹腔膜および筋肉で高発現しており、肝臓などではあまり発現していないことが分かった。 次に母体の観察を行ったところ、特に異常は確認されず、仔マウス離乳後に再度、妊娠および出産が可能であった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来のHPP治療法は開始時期が出生後であるため、胎生期に症状が進行し、死産となる 症例がある。安全な胎児遺伝子治療法の確立は、このような重症例の患者を治療することができ、臨床において非常に重要な意義をもつと考える。また、遺伝子診断技術の発展により、診断可能な遺伝病は増えている。しかし、治療法がないために人工妊娠中絶を選択する症例も多い。安全性が確認された胎児遺伝子治療法の確立は、HPPのみならず、他の重篤な遺伝病における治療の可能性が期待でき、臨床において大きな意義をもつ。さらに、胎児は血液脳関門や硬組織の形成が不十分であるため、治療酵素が行しやすい。そのため、投与量の減量が可能である。
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