研究課題/領域番号 |
19K18976
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
河合 遼子 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (60812352)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | HPV / ウイルス / 口腔扁平上皮癌 / リンパ節転移 / 口腔病理学 / ウィルス |
研究開始時の研究の概要 |
現在、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染は口腔扁平上皮癌(OSCC)の病因の1つと考えられており、若年者におけるOSCCや中咽頭扁平上皮癌(OPSCC)の発生率は増加傾向にある。そのため、HPV関連のOSCCやOPSCCへの関心が高まり、多くのOPSCCの研究が認められるが、OSCCについての検索は、これまでほとんど行われていない。本課題は、HPV感染率と予後との関連性について患者の追跡検索を行い、HPV感染がOSCCの予後マーカーとして使用できる可能性を検討し、OSCCにおける予後の基礎データを得ることで、予防・治療に大いに寄与することを期待して取り組む研究である。
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研究実績の概要 |
口腔扁平上皮癌(OSCC)は、主病因として喫煙や飲酒が考えられているが、近年これらの主病因によるOSCCの発生率は減少傾向にある。しかし、若年者におけるOSCCや中咽頭扁平上皮癌(OPSCC)の発生率は増加傾向にある。この増加には病因としてヒトパピローマウイルス(HPV)が知られており、HPV関連疾患への関心が高まっている。多くの研究によりHPV関連OPSCCは、early T Stage症例が多く、また頸部リンパ節転移症例も多いと報告されおり、予後は治療法に関係なくHPV陰性患者よりもHPV陽性患者で良好な予後が報告されている。しかし、OSCCは、HPV感染と予後に関する検索はこれまでほとんど行われておらず、未だ不明な点が多い。 本課題は、OSCCでのHPV感染率と予後との関連性について患者の追跡検索を行い、HPV遺伝子のintegrationの有無・E6コピー数およびp16 INK4A発現、また、腫瘍浸潤とリンパ節転移に関連するMIA、MIA2の発現を検索しHPV感染がOSCCの予後マーカーとして使用できる可能性について検討しHPV関連OSCCの予後に関する基礎データを得ることでOSCCの予防・治療に寄与することを期待して取り組む研究である。 本研究は前年度までの解析結果によりOSCC原発巣および頸部リンパ節転移巣の免疫組織化学検索においてMIA・MIA2の発現は原発巣より転移巣で有意に高く、またMIAではextra nodal extension症例で有意に発現が確認された。この結果より、リンパ節転移巣においてもMIAおよびMIA2発現活性は保たれ、腫瘍細胞の遊走を容易にし、腫瘍増殖を促進している可能性が示唆された。 2023年度は、前年度までの解析結果よりデータをまとめ、論文投稿を計画していたが、他業務により当初の予定より遅れが生じ、投稿には至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本大学愛知学院大学歯学部附属病院にて診断された口腔扁平上皮癌(OSCC)原発巣および頸部リンパ節転移巣のサンプルを用いて、MIAおよびMIA2の免疫組織化学検索を行ったところ、MIAおよびMIA2の発現は、OSCC原発巣より転移巣でより多く発現していた。また、リンパ節転移巣においてもMIAおよびMIA2発現活性は保たれており、腫瘍細胞の移動を容易にし、攻撃的な生物学的挙動が示唆された。本研究の途中経過について、国際誌での論文発表を検討しているが、論文作成の遅れのため年度内には論文発表までは行えなかった。次年度に国際誌に発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
HPV関連疾患はHPV DNAのゲノムへの組み込みが生じ、さらに染色体不安定性や遺伝子異常の蓄積が生じることにより、浸潤癌へ移行する。子宮頸癌およびOPSCCではHPVゲノムが宿主細胞のDNAに組み込まれたintegrationの状態が多いが、OSCCの場合、宿主細胞のDNAに組み込まれていないepisomeの状態が多く、E6/E7の発現の活性化は低いと推察され、悪性形質転換機構は子宮頸癌などとは異なると考えられるが未だ不明な点が多い。これまでに、我々は本研究においてMIAおよびMIA2は悪性形質転換により細胞質での発現は上昇することを確認した。さらに、OSCC原発巣より頸部リンパ節転移巣でMIAおよびMIA2はより多く発現し、転移巣においてもMIAおよびMIA2発現活性は保たれていた。MIAおよびMIA2は腫瘍の増殖、血管新生、リンパ管新生を促進し、リンパ節転移の重要な因子と報告されている。また、リンパ節転移はOSCCの重要な予後因子である。我々は以前HPV関連OSCCではリンパ節転移が少ないことを報告し、本研究ではHPV陽性OSCC症例はMIAおよびMIA2の活性が低いことが確認された。このことよりOSCCでは、HPV感染の有無により腫瘍細胞の増殖、腫瘍性血管新生およびリンパ管新生の促進因子の活性化に違いがあることが示唆される。そのため、HPV関連OSCCの特徴を腫瘍細胞の増殖、腫瘍性血管新生およびリンパ管新生に関連する因子を中心にさらなる検索を行っていく。
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