研究課題/領域番号 |
19K18986
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
塩沢 真穂 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (60735679)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | グラスアイオノマーセメント / 表面強化 / 表面保護 |
研究開始時の研究の概要 |
成形修復用グラスアイオノマーセメントは,操作性がよく,フッ化物による抗う蝕作用が期待できることから,訪問診療での高齢者の根面う蝕の治療に適した材料である.これまでの研究で,硬化後のセメント表面をカルシウム溶液で処理することで表面硬さが顕著に向上することが明らかになった.しかしその表面には多くの亀裂が観察され,長期耐久性に疑問が残る.そこで本研究は,表面強化した成形修復用グラスアイオノマーセメントの長期耐久性の評価と,実用的な表面保護方法の開発を目的とした.さらに,唾液中に含まれるイオンとの複合作用を解明し,最終的に臨床での応用を目指すものである.
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研究実績の概要 |
成形修復用グラスアイオノマーセメントは,硬化初期の機械的性質が十分でなく,長期耐久性が低いことが臨床的に問題となっている.これまでの研究で,硬化後のグラスアイオノマーセメントを高濃度の塩化カルシウム水溶液に浸漬することが硬化初期の表面硬さの改善に有効であることが明らかになった.しかし,塩化カルシウム水溶液処理を行ったグラスアイオノマーセメント表面には肉眼的に多くの亀裂が観察され,その長期耐久性には疑問が残る.これまでのセメントの表面強化方法は,高濃度(42.7 wt%)の塩化カルシウム水溶液にグラスアイオノマーセメントを10~60分浸漬する方法であるが,この方法自体がセメントの表面に亀裂を生じる原因となっている可能性が高い.そこで,低濃度の水溶液に浸漬したときの表面硬さと亀裂の発生について検討した. 20℃での飽和量を基準に,8.5,17.1,25.6,34.2,42.7 wt% の5種類に調整した塩化カルシウム水溶液と5%乳酸カルシウム水溶液を使用した.塩化カルシウム水溶液に浸漬した試料の表面硬さは,いずれの濃度の溶液に浸漬した試料も蒸留水に浸漬した試料と比較して有意に大きな値を示した.溶液濃度が高くなるほど,表面硬さは大きくなることが明らかになった.溶液濃度が小さくなるほど肉眼で観察される試料表面の亀裂は減少した.5%乳酸カルシウム溶液に浸漬した試料の表面硬さは,蒸留水に浸漬した試料と比較して大きな値を示したものの,有意な差は認められなかった.乳酸カルシウム溶液浸漬後の試料表面には,目立った亀裂の発生は認められなかった.試料表面の亀裂は,グラスアイオノマーセメントの長期耐久性に影響を及ぼすと考えられる.引き続き,セメントの表面強化効果を得られ,かつ表面性状への影響が最小限になる条件の検討を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は,表面強化した成形修復用グラスアイオノマーセメントの長期耐久性の評価と,実用的な表面強化方法の開発を目的とし,最終的に臨床での応用を目指すものである. 今年度は,グラスアイオノマーセメント表面への滞留性が良く,臨床条件下でのセメント表面処理に適した塗布材の開発と適切な作用形態を検討していたが,研究遂行に想定以上に時間を要したため,進捗がやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は研究を一時中断し,2024年度から再開する. 引き続き,グラスアイオノマーセメント表面への滞留性が良く,臨床条件下でのセメント表面処理に適した塗布材の開発と適切な作用形態の検討を行っていく.
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