研究課題/領域番号 |
19K19001
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
杉井 英樹 九州大学, 歯学研究院, 助教 (80802280)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | Activin A / 歯根膜細胞 / 前骨芽細胞 / 歯周組織再生 / 分化誘導能 / ペプチド合成 |
研究開始時の研究の概要 |
歯周組織に重篤な欠損が生じた際、骨、歯根膜組織の再生は困難となり、抜歯に至る可能性が高くなることから、歯周組織の再生誘導能を有した材料の開発が待ち望まれている。 申請者らは最近、 Activin Aが歯根膜幹細胞の線維芽細胞様分化を促進する一方、前骨芽細胞に対しては骨芽細胞への分化を増進し、細胞種により異なる分化誘導能を有し、結合する受容体も各々異なることを明らかにした。 そこで本研究では、Activin Aが細胞分化誘導時に働く各々の受容体に結合する領域を同定し、その領域を基にペプチドをそれぞれ合成した後、歯周組織を傷害したラットにペプチドを応用することで、歯周組織再生能を検討することとした。
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研究成果の概要 |
Activin Aは、ヒト歯根膜細胞においては、線維芽細胞様分化がALK4-smad2/3を介したシグナル経路により誘導され、ヒト前骨芽細胞においては、骨芽細胞分化がALK1-smad1/5/9を介したシグナル経路により誘導されることが明らかとなった。 さらに、ラット歯周組織損傷モデルを用いて、Activin Aの歯周組織再生能を評価した結果、損傷後2週間の欠損部歯周組織において、歯根膜様の線維性組織および骨様組織の形成を認めた。 以上より、Activin Aという1種のサイトカインのみで、歯根膜組織および骨組織において異なる細胞分化誘導を行うことで、歯周組織再生に寄与していることが推察された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究より、Activin Aは、ヒト歯根膜細胞の線維芽細胞様分化、およびヒト前骨芽細胞の骨芽細胞分化を同時に誘導することが可能な特異なサイトカインであることが明らかとなった。これまでに、同様の機能を有した因子は報告されておらず、新規の歯周組織再生療法を創生するために、非常に有益な因子であることが示唆された。 また、ラット歯周組織損傷モデルにおいて、Activin Aにより、欠損部歯周組織において、歯根膜様の線維性組織および骨様組織の形成を認めたことから、今後もin vivoにおける更なる研究を推進することで、これまでの手法よりも簡便で効果的な方法で、臨床応用の実現に繋げていくことが期待される。
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