研究課題
若手研究
歯周病は30代以上の国民の約8割が罹患している、感染者の非常に多い疾患であり(平成23年歯科疾患実態調査)、進行すると歯の喪失に繋がる。この歯周病は痛みなく進行するため、多くの人は歯周病の進行に気づくことができない。逆に言えば、痛みに気づくことができれば歯周病の罹患率は低下すると考えられる。このため本研究は、好中球と歯周病原細菌の免疫経路に着目し、歯周病がなぜ痛みなく進行するのかを解明することで、歯周病の早期診断・早期治療の新たなブレイクスルーをもたらすことを目的としている。
本研究は歯周病の無痛性進行のメカニズムを解明するとともに、痛みの反応経路を正常化することで、歯周病による歯槽骨吸収を起こさない経路を探索することを目的として行われた。我々は主な歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalis (P.g.) に着目し、マウス実験歯周炎モデルを作成し、研究を行った。実験モデルマウスを用いて、歯周組織局所の反応を行動生理学的、形態学的および組織学的に検証することが本研究の目的であり、令和1年度はマウス動物実験モデルを確立し、歯肉組織サンプルを採取し、サンプル中のフリーラジカルの産生量を ELISA 法を用いた測定および、フリーラジカル産生の経路の上流のC5aへのブロッカーを投与し、行動生理学的、免疫組織学的解析を行った。令和2年度は令和1年度の再実験及び、P.g. 菌と好中球の伝達経路の一つである、5aへのブロッカーを投与し、行動生理学的、免疫組織学的解析を行った。結果としては、歯肉組織サンプル中のフリーラジカルの産生量は、サンプル間の差が大きく、有意な差は得られなかった。マウスの歯肉は小さいため、サンプル量のばらつき、もしくはサンプル採取時の条件が測定結果のばらつきの原因と考えられる。また、C5aへのブロッカーを投与し、行動生理学的、免疫組織学的解析を行ったが、行動生理学的解析、免疫組織学的解析ともにばらつきが大きく、有意な差は得られなかった。
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