研究課題/領域番号 |
19K19149
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
北條 敬之 北海道大学, 大学病院, 助教 (60756691)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 腫瘍血管新生 / 乳酸アシドーシス / 腫瘍微小環境 / 血管内皮 / pH / 血管新生 / 腫瘍血管 |
研究開始時の研究の概要 |
がん細胞は有酸素下においても優先的に解糖系を利用することによりATPを産生する。このことをワールブルグ効果という。それにより、代謝物として多くの乳酸が産生され、がん組織内は乳酸アシドーシスとなっている。その環境は、腫瘍関連マクロファージをがんの悪性化に深く関わるM2型へと分化させるなど、がん微小環境に大きな影響を与えている。しかし、腫瘍血管内皮細胞に与える影響については未だ不明である。 本研究では、乳酸アシドーシスによる腫瘍血管内皮細胞の血管新生能獲得機序を解明すると共に、腫瘍血管内皮細胞特有のpH調整機構を明らかにすることにより、血管新生阻害療法の新たなターゲットの発見を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、腫瘍血管内皮細胞は正常血管内皮細胞と異なり乳酸アシドーシス下で増殖することを明らかにし、腫瘍血管ではin vitroおよびin vivoの両方でpH調節因子であるCAIIの発現が亢進していることを見出した。CAIIのノックダウンにより、乳酸アシドーシス下での腫瘍血管内皮細胞の生存率が低下した。VEGF-Aは,正常血管内皮細胞においてCAIIの発現を誘導した.アセタゾラミドによるCAIIの阻害は、in vivoでの腫瘍血管新生にはほとんど効果を示さなかったが、肺転移を減少させた。これらの知見から、CAIIのようなpH調節因子は、血管新生阻害療法のターゲットとなりうることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
がん細胞は有酸素下においても優先的に解糖系を利用することによりATPを産生する。このことはワールブルグ効果として古くから知られている。その結果、がん細胞は代謝産物として多くの乳酸を産生し、がん組織内は乳酸アシドーシスとなっている。乳酸アシドーシスは、免疫細胞に影響を与えてがんの悪性化のきっかけとなりうることが知られている。一方、がん組織内の環境が腫瘍血管内皮細胞の腫瘍血管の異常性獲得に寄与していることをわれわれは報告してきたが、乳酸アシドーシスが及ぼす影響については不明であった。 本研究により、腫瘍血管のpH調節因子が血管新生阻害療法の新たなターゲットとなりうる可能性が示された。
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