研究課題/領域番号 |
19K19225
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
佐藤 友里恵 (山田友里恵 / 山田 友里恵) 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20804537)
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研究期間 (年度) |
2021-11-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 神経再生 / 末梢神経 / 血管 / Hedgehogシグナル / Gli1 / Hedgehog signaling / Hedgehog signal |
研究開始時の研究の概要 |
下歯槽神経の損傷はしばしば痛覚過敏・感覚閾値の低下という、相反する症状を引き起こす。この発症メカニズムは未解明で、有効な治療法はない。感覚の回復には神経線維の 正確な伸長が不可欠であり、軸索伸長制御機構の解明は、異常感覚出現・病態把握に必須である。神経発生中、Hedgehog(Hh)シグナルは神経線維の伸長を制御するシグナルの一つであり、そのシグナル活性のバランスが神経線維の走行を規定している。本研究では、Hhシグナル活性を人為的に不均衡化したマウスに下歯槽神経損傷を施し、Hhシグナル活性バランスと軸索伸長、さらにその後に続く感覚回復の関係を検討する。
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研究実績の概要 |
海外における研究滞在等による研究中断を8月より再開した。初年度で発見した末梢神経内のGli1陽性細胞の詳細について解析を行った。まず末梢神経内のGli1陽性細胞の分布を分析したところ、神経周膜(42.5%±13.2%)、神経内膜(35.6%±9.5%)、血管周囲(21.9%±4.1%)の3箇所に存在することが分かった。また、それぞれ発現している細胞マーカーが異なっており、これら3種の細胞は同一の細胞ではないことが示唆された。初年度の実験で、Gli1陽性細胞は神経損傷後早期に損傷神経両断端から損傷部に向かって遊走し、神経両断端をつなぐnerve bridgeを形成していることを発見した。そこで、神経損傷部のGli1陽性細胞が、周膜、内膜、血管周囲のいずれから集まってきているのかを調べたところ、血管周囲のGli1陽性細胞が増殖し、細胞形態を変化させていた。神経損傷後のGli1陽性細胞の発現している細胞マーカーを確認したところ、神経損傷前のマーカーと異なっており、神経損傷を契機にGli1陽性細胞がキャラクターを変化させたことが示唆された。 末梢神経再生の後期、すなわち軸索再生、髄鞘化以降には神経周膜の再生が起こる。Gli1陽性細胞特異的にHedgehogシグナルを不活化したマウス( Gli1creER;R26RYFP;Smofl/flマウス、以下Smo cKOマウス)の神経損傷30日後の神経周膜の再生を観察したところ、Smo cKOマウスでは神経周膜の再形成が認められなかった。さらに、内膜のGli1陽性細胞が少数のaxon-Schwann cell unitを束ねるように筒状の形態を示していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画立案当初の実験計画に即した実験を行うことができたため。Gli1陽性細胞の分布、および神経損傷前後の発現細胞マーカーを同定することができ、今後の実験の基盤を確立できたため。
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今後の研究の推進方策 |
Gli1陽性細胞のさらに詳細な解析を進める。正常神経、損傷神経のシングルセルRNAseqのパブリックデータを解析し、損傷神経におけるGli1陽性細胞に高発現している遺伝子を特定する。その遺伝子をGli1陽性細胞特異的にノックアウトしたマウスを作製し、神経損傷モデルに供する。同マウスの神経を神経再生の各ステージでサンプリングし、形態学・生化学・分子生物学的解析を行い、Gli1陽性細胞の神経再生における役割を検討する。
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