研究課題/領域番号 |
19K19228
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中野 知帆 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (30835856)
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研究期間 (年度) |
2020-02-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | iPS細胞 / 低ホスファターゼ症 / 組織非特異的アルカリホスファターゼ / セメント質形成不全 / 乳歯の早期脱落 / 象牙芽細胞分化誘導 / ゲノム編集 / 象牙芽細胞分化 / 再生医療 |
研究開始時の研究の概要 |
低ホスファターゼ症(HPP)では、組織非特異型アルカリホスファターゼ(TNSALP)の活性が低下することにより、骨の低石灰化などの症状を呈する全身代謝性疾患で、歯科的な症状としては乳歯の早期脱落が起きることが知られている。本研究では、HPPにおける歯牙および歯周組織の形成異常をもたらす機序の解明を目的とする。具体的にはHPP患者由来iPS細胞とゲノム編集技術、分化誘導技術を用いて、象牙芽細胞やセメント芽細胞においてアルカリホスファターゼの活性の低下や石灰化異常がどのような分子を介して生じるのかを明らかにする。さらに、疾患モデルマウスを用いた検討を行うことで新たな治療法の可能性を探索する。
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研究成果の概要 |
本研究では、低ホスファターゼ症患者由来のiPS細胞を用いた象牙芽細胞分化誘導を行った。過去にヒトiPS細胞を用いた象牙芽細胞分化誘導法の報告はなく、既報のiPS細胞の骨芽細胞分化誘導法および間葉系幹細胞の象牙芽細胞分化誘導法を組み合わせ、iPS細胞から神経堤細胞、間葉系幹細胞を経由して象牙芽細胞へと分化させる方法を試みた。その結果、健常人由来ヒトiPS細胞において、象牙芽細胞の特徴を有する細胞への分化誘導に成功した。また、HPP患者由来iPS細胞では、誘導後の石灰化が認められなかったのに対し、ゲノム編集でHPPの原因となる変異を修復したiPS細胞では誘導後、石灰化が確認された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
低ホスファターゼ症(HPP)は非常に稀な疾患で、乳歯の早期脱落はその主たる症状の一つとして知られる。他にも歯の形成不全など口腔内の症状が報告されているが、そのメカニズムは不明である。これらの口腔疾患の治療は歯の喪失を防ぐための予防が中心で、積極的な治療は存在しない。HPP患者の口腔疾患に対する理解を深めることが求められる。 本研究では健常人由来ヒトiPS細胞を用いて象牙芽細胞分化誘導を行い、その特徴を有する細胞を得ることに初めて成功した。またHPP患者由来疾患特異的ヒトiPS細胞を用いて象牙芽細胞石灰化不全の病態を再現し、今後のHPPにおける歯科的研究の足掛かりとなることができた。
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