研究課題/領域番号 |
19K19241
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
茂山 幸代 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (10794480)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 悪性黒色腫 / TLE3 / メラノーマ / 増殖 / 浸潤 / HDAC / 転写コリプレッサー |
研究開始時の研究の概要 |
悪性黒色腫は高い増殖能と浸潤能が特徴で、肺などへの遠隔転移も多く、予後が悪い。口腔粘膜に発生する悪性黒色腫は皮膚のものと比べて予後不良とされる。申請者らはこれまでに悪性黒色腫患者の検体においてメラノサイトの悪性転化と悪性度亢進に伴い転写コファクターTLE3の発現量が上昇し、TLE3は悪性黒色腫細胞の増殖を促進することを明らかにした。そこで、本研究では口腔悪性腫瘍モデルを使用し、悪性黒色腫の増殖・浸潤、転移を評価する。TLE3の役割にHDACが関与するかどうかを明らかにすることで、新たな治療薬として注目されてHDAC阻害剤の作用機序に新たな分子基盤を与えること目的とする。
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研究成果の概要 |
メラノーマは悪性度の高いがんであり、高い増殖能と肺などへの遠隔転移による非常に予後が悪い.データベース解析からヒトの健常皮膚,良性母斑,メラノーマへの変化に伴い転写コファクターであるTLE3の発現が上昇した.TLE3を過剰発現したB16細胞は増殖能が亢進し,CyclinD1などの細胞周期関連遺伝子の発現量が上昇した.この細胞を12週齢雄ヌードマウス背部皮下に接種するとコントロール細胞に比べて大きな腫瘍を形成した.一方,TLE3を恒常的にノックダウンしたB16細胞をマウス皮下に摂取するとコントロール細胞に比べて小さな腫瘍を形成した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
免疫チェックポイント阻害剤の登場により,近年メラノーマの治療成績が著しく向上してきた.しかし,これら薬剤が全く無効である症例も少なくなく,さらに間質性肺炎や大腸炎などの免疫関連有害事象をもたらすこともわかってきた.そのため,メラノーマの病態を正確に理解し,新たな治療法を確立する必要性は依然として残っている.HDAC阻害剤はメラノーマの新しい治療薬として注目されている.本課題ではHDACを誘導し転写コファクターとして作用するTLE3がメラノーマの増殖を制御するメカニズムを明らかにしたものであり,HDAC阻害剤を利用したメラノーマの治療に新たなエビデンスを与えることができる研究であったと考える.
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