研究課題/領域番号 |
19K19252
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
豊留 宗一郎 近畿大学, 奈良病院, 助教 (20836663)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 口腔外科 / 角化嚢胞 / エナメル上皮腫 / 歯原性腫瘍 |
研究開始時の研究の概要 |
口腔外科領域の疾患は、良性疾患であっても切除を行うことで、術後の機能障害や強い疼痛を生じることが多く、可及的に切除範囲を抑えることが理想である。しかし、顎骨内に生じる良性腫瘍である歯原性腫瘍には、局所で再発しやすい特徴を持った腫瘍が多く、経験的に切除量が増えてしまう傾向にある。そこで本研究では、実際の手術で摘出された組織から遺伝子の発現パターンを調べることで、客観的に局所再発や侵襲性のリスクについて検証を行い、データベース化する。これにより経験的に切除範囲を決めるのではなく、遺伝子レベルで客観的に判断することで、必要最小限の手術範囲で予後良好な結果を得るための指標として確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、1歯原性腫瘍の治療に対し、遺伝子発現の変化を基に、確実な治療法選択の基準を作成すること、2ゲノム編集技術を用いて病変発症のメカニズムの解析と、遺伝子修復による治療の可能性を探索することである。まずは1を達成する第一段階として、研究に適した症例の検索と検体の採取が必要である。これまで、長期にわたるコロナ禍のため新規受診患者の大幅な減少により、検体採取が困難な状況が続いており、この1年も同様の経過が想定された。一方で、研究の対象とする疾患を選別するために、病変の拡大傾向や再発有無などの臨床的評価を行う必要がある。そこで、これまで治療を行った歯原性腫瘍の症例において、X線画像や病理画像及び術中所見などの検索を継続し、再発の有無についてデータを集めてきた。その中で、将来的に再発の恐れが指摘されている稀な歯原性腫瘍の症例や、歯原性腫瘍の悪性転化によって生じたと思われる顎骨中心性癌の症例などがあり、長期的に経過を追うことができた。このような症例については、遺伝子の発現変化について検索を行い解析を進めている。特にこの症例から得られた所見については、文献的考察を加えた上で、論文として投稿し公開された。その他、関連する口腔外科疾患については学会発表を行っている。将来的には、遺伝子解析の結果と臨床所見や再発等の経過を照らし合わせて、再発リスクや術式の選択に至る診断基準を検討する必要があるため、今後も同様のデータ蓄積を継続する予定である。今後も新患症例の減少を加味し、過去の症例における画像所見や術中所見、術後経過などの臨床データの蓄積を続け、新たに再発をきたした症例を中心に、臨床所見のデータの収集を継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では研究の対象とする症例として、同一の患者から患側と健側の病変組織と健常肉芽組織を同時に採取し、検体とする必要がある。今年度も昨年度に引き続き、コロナ禍のため新規受診患者が大幅に減少している。よって、昨年度よりこれまで手術を行った症例で、今後再発や増悪が懸念される症例を取り上げ、臨床上のデータを収集してきた。その中で、再発や悪性転化が生じた症例を中心に、免疫染色等で遺伝子発現を調べ解析を進めている。他の論文にてどのような特徴があるか調べることも必要であるため、これらの症例は文献的考察を行い論文とした。これらのデータは将来的に、遺伝子解析結果に基づく予後予測因子と、治療方法の確立における検討で必要であるため、今後も収集を継続する予定であるが、当初予定していた検体採取は上記理由によりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
条件を満たす症例であれば、検体の採取を行う予定である。また、昨年に引き続き、これまでに歯原性腫瘍の手術を行った症例をまとめ、再発や悪性転化が懸念されるものについて臨床経過を記録する予定である。この経過の追う中で、特徴的な変化を認めた症例は遺伝子発現について解析を行う予定である。本研究の最終目的は、再発や局所侵襲性が高いと思われる症例を遺伝子解析にて判別し、術中の削除量や術式の違い、初診時からの画像所見などの臨床データを照らし合わせることで、客観的な診断基準を作成し、低侵襲で確実な治療方法を確立することにある。したがって、これらの臨床データの蓄積は今後も必要である。また、比較的長期間の経過観察ができている症例が増えてきたため、当初予想された経過と現在の結果と相違点などの検討を行う予定である。
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