研究課題/領域番号 |
19K19255
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
上村 光太郎 北海道大学, 大学病院, 医員 (30815535)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 歯学 / SATB2 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究申請者および研究協力者らは、歯牙腫が多発するという非常に特徴的な所見を有する患者に対して全ゲノムde novoシーケンンス解析を行った。解析の結果、SATB2遺伝子に変異が生じていることが明らかになった。過去の報告では、SATB2の変異によって、顎顔面領域の異常として口蓋裂が発症することが知られていたが、多発性歯牙腫および歯牙の形態異常についての報告はない。そこで本研究の目的は、歯の発生におけるSATB2の役割を明らかにすることである。
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研究実績の概要 |
SATB2の変異によって引き起こされるSpecial AT‐rich sequence binding 2‐associated syndrome(SAS)は、知的障害、頭蓋顔面の異常を特徴とする多系統障害である。SAS患者は口腔内にも特徴異常(口蓋裂または高口蓋、相対的巨舌症、および小顎症など)が発症することが報告さている。さらに、最近の報告では、歯において歯の形態異常と歯数の異常および過剰歯の発生などの異常が併発していることが判明している。しかし、歯の発生において過程においてSATB2がどのような役割を担っているか、その詳細については明らかになっていない。 本研究では、SATB2が歯の発生にどのように関与しているか、マウスを用いた動物実験を行い検証した。歯の発生期の歯胚に対してSATB2のin situ ハイブリダイゼーションおよび免疫染色を行い、SATB2の発現を検討した。その結果、SATB2の発現は、出生後のP1とP5のマウスの歯胚のでは、象牙芽細胞と歯髄細胞で強いSATB2の発現が観察された。一方、エナメル芽細胞では、SATB2の発現は確認されなかった。 P7では、エナメル芽細胞と歯髄細胞でSATB2発現が検出された。さらに、歯根の象牙芽細胞において強い発現が確認された。歯根の象牙芽細胞のSATB2陽性染色は、歯冠部の象牙芽細胞のそれと比較してより強力であった。以上の結果から、SATB2は、歯の発生において、象牙質の形成において重要な役割を果たしていることが示唆された。さらに、歯の形態形成に関与しているShhシグナル発現についてSATB2の発現部位と比較検討したところ、双方の発現部位に関連性があることが確認された。以上の結果から、SAS患者における歯の異常は、象牙質の形成期の異常を発端として発症している可能性が示唆された。
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