研究課題
若手研究
Porphyromonas gulaeは伴侶動物やその飼い主であるヒト口腔内の歯周病変部位から高頻度で検出される。そこで、P. gulae感染による歯周病発症メカニズムを解明することは、歯周病予防法の開拓につながるという着想に至った。本菌の菌体表層には線毛が存在し、線毛遺伝子はA/B/Cの3つの型に分類される。中でもP. gulae C型線毛保有株は高病原性を有するが、宿主への感染機構については未だ十分に明らかにされていない。本研究課題ではP. gulaeの歯肉上皮細胞への付着侵入機構を解析し、線毛の役割を明らかにし、歯周病発症メカニズムの一端を解明する。
動物由来歯周病原菌 Porphyromonas gulae について、線毛遺伝子 A/B/C 各保有株の付着侵入能を比較し、歯肉上皮細胞侵入能と P. gulae 線毛遺伝子型との関連性を解明した。また宿主細胞の特定の機能を抑制する阻害剤を用いて P. gulae の宿主細胞への付着侵入経路を解析した。将来的に線毛の病原性を明らかにするため、線毛欠損株の作製も行った。C型線毛保有 D049 株をもとに fimA 遺伝子の欠損部位にエリスロマイシンカセットを挿入し、線毛欠損株を完成させた。これにより今後引き続いて線毛の病原性を解析するための材料を得ることができた。
動物由来歯周病原菌 Porphyromonas gulae は伴侶動物を飼育する歯周病患者の病変部プラークから高頻度で検出され、歯周病は動物由来の P. gulae 感染による人獣共通感染症である可能性が考えられ始めている。本研究により P. gulae のヒト歯肉上皮細胞への感染経路が解析され、併せて線毛の歯周病発症における役割を解明した。これらの成果をもとに P. gulae 感染と歯周病発症の関連性が明らかとなり、人獣共通感染症としての歯周疾患の治療法・予防法開発へと繋げる狙いがある。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件)
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