研究課題/領域番号 |
19K19372
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 静岡県立静岡がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
浄住 佳美 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (90794537)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 二次的所見 / 遺伝カウンセリング / がんゲノム医療 / PGPV / 血縁者検査 / 臨床ゲノム研究 |
研究開始時の研究の概要 |
ゲノム医療における網羅的ゲノム解析では、当初の目的とは別に生殖細胞系列に疾患発症に関連する二次的所見(secondary findings:SF)が検出されることが想定され、その対応策が議論されてきた。本邦では、実際にSFの結果開示や遺伝カウンセリングを実施している施設は限られており、個別化ゲノム医療に向けた本邦の遺伝カウンセリング体制もまだ十分とは言えない。 本研究では、静岡がんセンター臨床ゲノム研究において二次的所見の開示を行った症例を対象に、その反応と患者背景との関係、結果を開示した後の患者家族のニーズを調査し、より良い遺伝カウンセリングを行うためのファクターについて検討する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、昨年度に引き続き、静岡がんセンター臨床ゲノム研究「プロジェクトHOPE」で検出された二次的所見の患者への返却、遺伝カウンセリングを実施し、患者のニーズ等のデータ収集を行った。また、保険診療のがんゲノム医療における二次的所見(pathogenic germline variant:PGV/presumed germline pathogenic variant:PGPV)の患者への返却、遺伝カウンセリングも並行して実施した。 「プロジェクトHOPE」において、遺伝性腫瘍関連遺伝子の二次的所見は参加者全体の約1%、がん以外の遺伝性疾患関連遺伝子の二次的所見は参加者全体の約0.3%に認められた。また、保険診療のがんゲノム医療(腫瘍組織の解析)においては、全体の約11~12%にPGPVが認められ、うち約半数が遺伝カウンセリングを受診した。遺伝カウンセリングを実施した症例の約60%がgermlineの確認検査を受け、うち約60%にgermlineバリアントを認めた。血縁者検査の実施も徐々に増加し、病的バリアントを有する未発症血縁者のサーベイランスにより癌の早期発見につながる症例もあり、二次的所見やPGPVを報告し、適切なサーベイランスに繋げることは、患者本人および血縁者にとって医学的メリットがあると考えられた。 しかし、血縁者との情報共有や血縁者検査実施には様々な障壁があり、諸外国でも血縁者検査の実施率の低さ報告されている。2023年度は、HBOC症例における血縁者検査の実施状況や血縁者検査実施に関連し得る因子の検討も実施した。 二次的所見やPGPV開示や、開示後のニーズ、血縁者との情報共有の状況を明らかにすることは、現在進められてる全ゲノム解析における二次的所見の患者還元や適切な遺伝カウンセリングを検討する上で有用なデータとなると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度に、一身上の都合により研究を中断した。 また、2020~2022年の新型コロナウィルスまん延による患者の来院や遺伝カウンセリング外来受診の延期、各種ガイドライン改定に伴うプロジェクトHOPE研究における開示対象遺伝子の見直し、再解析などにより、当初の計画よりも進捗状況は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き二次的所見やPGPVの開示と遺伝カウンセリングを進め、データを収集する。 また、患者のみならず、その血縁者の支援も視野に、血縁者との情報共有や血縁者検査実施状況などのデータも収集し、血縁者検査実施に関連し得る因子の調査も実施する。 これらの症例データの集計、分析をおこない、得られた結果をとりまとめ、2024年度の遺伝関連学会等で成果の発表を行いたい。
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