研究課題/領域番号 |
19K19380
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山口 るつ子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (90383603)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 診療関連死 / 法医解剖 / 医療安全 / 医療事故調査制度 / 法医学 / 異状死データベース |
研究開始時の研究の概要 |
法医解剖となった診療関連死事例について、死亡から法医解剖に至るまでの経緯、法医解剖所見の分析、法的処遇などの追跡調査を含めた疫学的調査・分析を行うことにより、法医解剖の適応となっている診療関連死事例の特徴、第三者機関による死因究明および再発防止策への試みである医療事故調発足前後での事例の傾向の推移、またその理由を明らかにし、法医解剖結果が事例の法的処遇のプロセスにどのように影響を与えているか、 例えば医療訴訟の防止に寄与しえているか、医療事故の死因究明、再発予防にどのように寄与しえているかについて現状を分析し、将来的に望ましい診療関連死調査制度についての考察と提言を行う。
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研究実績の概要 |
2022年度は、収集した2011-2017年の診療関連死象事例147事例において、I. 受診直後の予期しない死亡、 II. 手術および侵襲 的な医療行為、また薬剤投与に関連する死亡疑い、III. 医療行為や診断過程には問題がないと思われたが、主に 遺族感情による死因究明 の希望があったもの、 IV. 病院・介護施設における予期せぬ事故や死亡など、患者管理・ケアが問題となっているものの4種に分類し、主に死因・発生施設・診療科や部門・届出者・死亡者の年齢性別・解剖の種類・解剖結果からの医療行為と死亡の因果関係の判断につい て包括的にまとめ、新しい死因究明制度としての死因・身元調査法に基づく解剖、及び医療事故調査制度の発足の前後の事例を比較し、これら法改正や制度改革の実際の法医解剖における診療関連死事例の傾向と特徴への影響を検討した結果、診療関連死における司法解剖の割 合は減少傾向にあり、即ち刑事事件としての扱いが減少傾向にあること、高齢化社会を反映して 施設内の予期しない事故など医療行為による有害事象というよりは施設の管理責任が問われる事例が増加していること、また警察届出を端緒としない院内および 第三者機関の支援による調査として期待が寄せられている医療事故調査制度が対象とできる事例は限られていること、診療関連死事例調査においては情報開示に刑事訴訟法上の 制限がなく、医療現場に結果をフィードバックすることが可能な新法解剖の扱いが有用である可能性などが見出され、この結果が英文査読誌に掲載された(Yamaguchi et al. J Law Med 2022; 29: 50-521)。また、調査にあたって貴重な警鐘事例と思われたものについても、英文査読誌に事例報告としてこれまで3報発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年まで、収集した事例の実際の法的処遇について包括的に調査を行い、解剖結果が紛争解決等に与えた影響を検討すべく、裁判所や地方検察庁等への聞き取り 調査や尋問調書閲覧を予定し、また国外法医学施設への視察等も予定していたところ、新型コロナウイルス感染症の拡大状況からこれが不可能の状況が生じてい た。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の延長申請を行い受理されたため、今年度はこれまで実現しなかった事例の法的処遇の調査や、国外法医学施設・司法関係施設への視察調査を行い、また2018年以降の研究期間中の該当事例についても、この期間の重要な公衆衛生学的危機であった新型コロナウイルスパンデミックによる医療機関の逼迫状況による影響の有無および、もし何らかの影響が見出されたとすればその具体的内容や診療関連死の発生・その傾向との関連性などについても分析を加えつつ、研究の総括を行う予定としている。
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