研究課題/領域番号 |
19K19403
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大久保 寅彦 北海道大学, 保健科学研究院, 講師 (90762196)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 薬剤耐性菌 / 微生物間相互作用 / 繊毛虫 / ワンヘルス / 原生生物 / 下水 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では薬剤耐性菌の環境中拡散を検討することを目的に、①病院(耐性菌の出現場所)、②下水・③下水処理場(耐性菌が病院から出ていく経路)、④処理場下流の河川水(耐性菌が流出するおそれのある野外環境)から耐性菌を分離し、その特徴を培養性状および遺伝子性状の両面から比較する。また、下水や野外環境に生息する繊毛虫(ゾウリムシに代表される原生生物)が耐性菌の生存に与える影響を明らかにするために、既に下水などから分離した繊毛虫と薬剤耐性菌の共培養を行ない、耐性遺伝子の伝達頻度を比較する。これらのデータから、病院から下水を介した耐性菌の拡散リスクを明確化し、今後の耐性菌対策に役立つ知見を得る。
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研究成果の概要 |
マンホール汚水から基質拡張型βラクタマーゼ産生大腸菌(n=44)を分離した。分離頻 度は一般施設汚水と病院汚水との間で有意差はなかったが、病院汚水由来株はβラクタム耐性に加えてフルオロキノロン系にも耐性を示した。以上より、汚水は薬剤耐性菌が環境中へ拡散する経路として重要であり、特に病院汚水には耐性化の進んだ薬剤耐性菌が含まれていることが示された。また、汚水からAnteglaucoma harbinensis他9株の繊毛虫を株化した。Anteglaucomaはレジオネラ感受性というユニークな性状を示したことから、レジオネラの病原因子の探索ツールとして有用な繊毛虫を副次的に得ることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では汚水から薬剤耐性菌を検出できたことに加え、病院汚水と一般施設汚水との間で薬剤耐性菌の質的・量的な差を比較することができた。このことから、病院汚水には単に薬剤耐性菌が含まれるだけでなく、より耐性化が進んだ高度耐性菌が含まれることを明らかにした。薬剤耐性菌の環境中への拡散は世界的な懸念事項となっているため、その対策が求められている。本研究の成果は病院汚水に対して耐性菌拡散防止対策が必要なことを示す具体的なエビデンスを示しており、臨床と環境をつなぐワンヘルスアプローチに関わる知見を提供するものである。
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