研究課題/領域番号 |
19K19408
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 名城大学 (2021) 名古屋大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
橋本 和宜 名城大学, 薬学部, 助教 (10816242)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ホウ素 / 発癌 / リチウム / 無機材料 / 浄化 / 悪性形質転換 / 井戸水 / 飲用水 / 健康影響 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は、開発途上国の飲用井戸水に関するフィールドワーク調査研究から、世界保健機構(WHO)の飲料水水質基準値を超えるホウ素の高濃度汚染を確認している。飲料水によるホウ素への慢性期曝露が想定されるが、慢性影響である発癌性の報告はない。一方で、アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)の発癌リスク評価基準では、「ホウ素の発癌性に関するデータは不十分である」とされている。本研究で、申請者は、ホウ素曝露下でのホウ素の体内動態、ホウ素による発癌毒性およびその機構に関する研究を行う。本研究の成果は、世界的なホウ素の飲料水水質基準の見直しにつながると考えている。
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研究成果の概要 |
UNICEFとWHOによると、世界人口70億人のうち約6億人が安全な飲料水を得られない状況である。そこで、「安全な水」の確保のため、元素による毒性を正確に把握する必要である。 本研究において、アフガニスタンの飲用井戸水227検体について元素濃度測定を行なった。ホウ素についてWHOの飲料水ガイドライン値:2.4mg/Lを超える高濃度汚染を確認したため、ホウ素の発癌毒性について検討を行なった。ホウ素刺激により非癌細胞株の足場非依存性増殖能が促進したのに対して、癌細胞株の足場非依存性増殖への影響は限定的であった。本研究から、ホウ素が発癌のイニシエーションに影響する可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、アフガニスタン・カブールの飲用地下水227検体を用いた独自の元素分析結果を基にしている。本研究が証明した、ホウ素によるin vitro発癌毒性は世界で初めての報告であり、今後ホウ素の世界的な飲料水基準値の見直しのための必要不可欠の情報となると考えている。 日本では、ホウ素が100mg/Lを超える濃度含まれる温泉水もあり、温泉水の「飲泉」や農業利用が進む現状において、早急にホウ素の毒性を明らかにしておくことが必要である。また同時に、汚染水を浄化し安全な水の確保のための方法を開発する必要がある。
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