研究課題/領域番号 |
19K19414
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
佐藤 博貴 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (70775965)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
|
キーワード | 有機リン系殺虫剤 / 尿中代謝物 / 生物学的モニタリング / ベンチマークドーズ / 労働衛生 / ガイドライン値 / バイオマーカー / コリンエステラーゼ / 有機リン / 殺虫剤 / バイオモニタリング |
研究開始時の研究の概要 |
有機リン系殺虫剤(OP)はパラオキソナーゼ1(PON1)によって代謝されるが、その反応には著しい個体差がある。尿中に排泄される代謝物を用いてリスク管理を行うためにはPON1活性の違いによる影響を考慮する必要がある。 本研究では、PON1活性の違いと尿中OP代謝物量の関係を動物実験にて明らかにする。得られた知見より、OP散布作業者の労働環境における個人リスク評価モデル開発に貢献する。
|
研究成果の概要 |
有機リン系殺虫剤(OP)は生体内に入ると肝臓のシトクロムP450により酸化され、活性型のオキソン体となり神経系のアセチルコリンエステラーゼ(AChE)を阻害して毒性を発揮する。オキソン体を代謝分解するパラキソナーゼ1(PON1)の酵素活性には著明な個人差が報告されており、尿中代謝物の排泄量やAChE活性の抑制程度に影響している可能性がある。したがって、これらのアウトカムを用いたリスク評価指標を検討する際には、PON1の影響を踏まえて個人の代謝分解能を反映させた指標として設定することで、薬剤感受性の個体差を考慮した労働衛生対策を提案することが可能になる。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、OP曝露量に応じたPON1活性への影響を検証しOP解毒作用の個体差に踏み込んだリスク評価手法の開発を目指すことに学術的意義がある。すなわち、PON1活性と曝露評価指標である尿中DAP量との関連性に基づいた参照値によるリスク管理が可能となる。 また、このようなリスクマネジメント手法は斬新であり、同様に代謝経路の個体差が想定される他の化学物質への応用可能性や、曝露状況が一律ではない労働環境における個人曝露評価の重要性が改めて示され、さらに個体差を反映した「個人リスク評価モデル」の提案が可能となる。他の化学物質についても応用できる新しいリスク評価の概念となる社会的意義のある研究である。
|