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新型エンテロトキシンによるブドウ球菌食中毒発生リスクの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K19427
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
研究機関地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所

研究代表者

梅田 薫 (中田薫)  地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主幹研究員 (90332444)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
キーワード黄色ブドウ球菌 / 新型エンテロトキシン / ブドウ球菌食中毒 / 全ゲノム解析 / サンドイッチELISA / RPLA法 / エンテロトキシン / 食中毒 / 汚染調査 / 遺伝子検出
研究開始時の研究の概要

ブドウ球菌食中毒は、食品中に産生されたエンテロトキシン(SE)を摂取することにより発症する。食中毒を引き起こすのは主に従来型SEとされ、新型SE/SElの食中毒起因性については未解明な部分も多い。申請者らは、従来型SEを産生せず、複数の新型SE/SEl遺伝子のみを保有する黄色ブドウ球菌を原因とする食中毒事例を経験した。新型SE/SElによって食中毒が発生しうるリスクを明確にし、食中毒検査、予防啓発等に寄与することを目的とし、新型SE/SElの簡便・迅速な免疫学的検出法の確立、食品中における新型SE/SEl産生動態の解明、次世代シーケンサーを用いた食中毒分離株の解析に取り組む。

研究実績の概要

1.ブドウ球菌エンテロトキシン(SEs)は嘔吐や下痢を主症状とする食中毒を引き起こす。サンドイッチELISA法を用いて、2014年に大阪市内で発生したブドウ球菌食中毒由来菌株の新型SEs産生性および、食品残品中に含まれる新型SEs量を測定した。その結果、食中毒由来菌株はきわめて高い新型SEs産生性を示した。食品残品の寿司からも食中毒を引き起こすのに十分な新型SEsが検出された。次世代シーケンサーを用いて患者由来株の全ゲノム解析を実施した結果、エンテロトキシン遺伝子クラスター2周辺の遺伝子構造は、Sequence Type 45に属する菌に特異的であることが分かった。
2.食品取扱者手指、調理設備のふき取り検査を実施し、黄色ブドウ球菌の汚染調査および汚染に関与する衛生管理の要因について統計学的解析を行った。食品取扱者手指17.3%、調理設備7.1%から黄色ブドウ球菌が検出された。衛生手袋使用のルール・マニュアルの策定と調理施設の消毒の実施が有効な汚染対策として挙げられた。黄色ブドウ球菌の59.8%が何らかのSE/SEl遺伝子を保有しており、い食中毒発生リスクが示唆された。
3.工場で炊飯された米飯について、炊飯中の細菌汚染は少なかったが,35℃での保存試験に伴って生菌数が経時的に著しく増加した.黄色ブドウ球菌の接種試験により,経時的な菌の増殖とエンテロトキシン産生が確認された.pH調整剤の明確な静菌作用は認められなかった.期限内の米飯であっても取り扱いを誤れば,大規模な食中毒に発展する可能性があることが明らかになった.
4.新型エンテロトキシンを検出する逆受身ラテックス凝集反応法RPLA法構築のため、市販のポリクローナル抗体およびラテックスパーティクルを用いた予備実験を行った。複数のメーカーの抗体およびラテックスパーティクルを供試し、試薬濃度や反応条件を変化させて最適化を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「研究実績の概要」1.で述べた、新型エンテロトキシンによる食中毒事件の検証についての成果は、新規性が高く、本科研費研究の主目的にあたる。得られた成果を学術論文、学会発表、依頼講演および、大阪健康安全基盤研究所HP上で公表することができた。2.で述べた調理人手指、調理施設のブドウ球菌汚染についての成果は、行政に還元し、食中毒予防対策に役立てることができた。3.で述べた工場で炊飯された米飯の細菌汚染についても新規性の高いものであり、さらに消費者の食の安全に大きく寄与する成果である。これも得られた成果を学術論文、学会発表として公表することができた。4.で述べた新型エンテロトキシンを検出するRPLA法の構築が計画よりも遅れている点が課題であるが、他の研究および成果報告については順調に進行してきた。よって、「おおむね順調に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

「研究実績の概要」1.においてエンテロトキシン産生を確認したサンドイッチELISA法は感度、特異性ともに高く、優れた方法であり、食中毒検査にも適している。一方、地方衛生研究所や保健所検査室で行政が実施する食中毒検査においては、複雑な手技や測定機器を必要としない逆受身ラテックス凝集反応法(RPLA法)がブドウ球菌エンテロトキシンの検出法として、現在、一般的に用いられている。
現在、市販されているのは従来型のA型~E型エンテロトキシン検出RPLA法のみであるため、本研究では、新たに新型エンテロトキシンを検出できるRPLA法を構築する。昨年度までに試薬を購入して複数回の予備実験を行い、大まかな作製方法や条件検討の方向性は確立している。今年度は主に細部の条件検討を行い、感度、特異性を向上させる。また、方法が確立したのちに、食中毒事例由来菌株や食品残品を用いた検証実験を行う。

報告書

(5件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2019 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] High production of egc2-related staphylococcal enterotoxins caused a food poisoning outbreak2021

    • 著者名/発表者名
      Umeda Kaoru、Ono Hisaya K.、Wada Takayuki、Motooka Daisuke、Nakamura Shota、Nakamura Hiromi、Hu Dong-Liang
    • 雑誌名

      International Journal of Food Microbiology

      巻: 357 ページ: 109366-109366

    • DOI

      10.1016/j.ijfoodmicro.2021.109366

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 米飯製造施設で製造された米飯による食中毒リスクの調査2021

    • 著者名/発表者名
      梅田 薫,松林雄一,中村寛海,松浦 義治,吉岡 馨子,奥原 潤
    • 学会等名
      第42回日本食品微生物学会学術総会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 大阪で発生した特殊なブドウ球菌食中毒事例について2019

    • 著者名/発表者名
      梅田薫
    • 学会等名
      第64回日本ブドウ球菌研究会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 食品取扱施設における黄色ブドウ球菌の汚染調査および新型エンテロトキシン遺伝子保有状況2019

    • 著者名/発表者名
      梅田 薫、永井佐知子、中村寛海、小野久弥、西村真衣、宮木行雄、山本雅由、小川登紀子、西 康之、軽部大助、説田 景、黒岡伸夫、奥原 潤、小笠原 準
    • 学会等名
      第40回日本食品微生物学会学術総会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [備考] 世界初の証明!- egc2に関連するブドウ球菌の新型毒素は食中毒を引き起こす-

    • URL

      https://www.iph.osaka.jp/s008/1000/2022_Nov/20221018085117.html

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

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