研究課題
若手研究
近年、腎細小血管の解剖学的、機能的類似性から腎機能と無症候性脳血管疾患との関連が指摘され始めており、患者コホートからの報告ではその関連が報告されているが、一般住民からの報告はまだ少なく、その評価は分かれている。本研究では、40歳代から80歳代の850人の健常な日本人一般住民を対象として、腎機能およびその経年変化と無症候性脳血管疾患との関連、およびこの関連への循環器疾患発症因子の介在の程度を明らかにする。無症候性脳血管疾患は脳卒中および認知機能低下指標として注目されているため、本研究で得られた結果は、高齢社会における認知症・脳卒中の早期発見マーカーとして予防に繋がることが期待される。
本研究は一般地域住民から年齢層化無作為抽出した集団のうち協力が得られた者を対象として、頭部MR画像を用いて評価した無症候性脳血管障害と潜在性動脈硬化指標および危険因子の測定を実施している既存の前向きコホートの成績を用いて、腎機能およびその経年変化と無症候性脳血管疾患の関連を検討するものである。曝露要因として、アルブミン/クレアチニン比、クレアチニンを用いて算出したeGFRcr、シスタチンCを用いて算出したeGFRcysを、アウトカムとしてラクナ梗塞、脳微小出血、脳室周囲白質病変、深部皮質下白質病変を合計したスコアを用いて詳細に検討した。腎機能が低下するほど無症候性脳血管疾患の存在と関連していた。
3: やや遅れている
新型コロナウイルス感染拡大による移動制限により、調査地で行う解析を一部実施できなかったため。
日本人一般集団における無症候性脳血管疾患と尿アルブミン/クレアチニン比およびeGFRの経年変化との関連についてさらに詳細に検討を進める。また、その成果を専門誌で報告する予定である。
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