研究課題
若手研究
本研究では、地域サロンを通じて形成される高齢者の社会的ネットワーク(2モードネットワーク)と、社会調査の各回答者が持つ少人数から成る親密圏ネットワーク(エゴセントリックネットワーク)の、2つの社会的ネットワークの分析を通じて、ネットワークによる健康行動(喫煙、飲酒、運動など)への影響を明らかにする。各ネットワーク分析において、ネットワーク内の誰が行動に影響力を持つのかを、ネットワーク上の位置や構造などのネットワーク指標、およびつながりの媒体(オンライン or オフライン)の観点から明らかにし、地域内および親密圏ネットワークへの公衆衛生学的介入に有用な実践的インプリケーションを導出する。
喫煙行動がどのように社会ネットワーク内で共有されているのかを、社会調査データを用いて検討した。ネームジェネレータ法を用い、回答者から親密な4人の社会的属性、健康関連行動、コミュニケーション媒体、そしてその4人の間の社会的紐帯の有無などの情報を得た。結果から、回答者と友人の喫煙行動に正の関連があることが確認され、とくに、固有ベクトル中心性として捉えられた「人気のある」友人の行動が強い関連を示した。さらに、それらの関連は教育年数が短い回答者においてより顕著であった。これらの結果から、対人ネットワークによる行動への影響の違いが、社会経済的特徴による健康行動の格差の一部を説明しうることが示唆された。
固有ベクトル中心性によって測定されたネットワーク内他者の構造的特徴が喫煙行動の社会的伝播に交互作用効果を持ちうること、とくにそれが教育年数の短い人々の間で顕著であることを初めて実証的に確認した点に、本研究の学術的意義がある。また、本研究の社会的意義として、これらの知見は禁煙プログラムにおいて参加者の親密な他者の特性を考慮に入れる必要があることを示唆している。すなわち、対人ネットワークを考慮に入れた禁酒プログラムのように、禁煙においても、とくに影響を受けやすい参加者には、ネットワーク構造を考慮し喫煙との関連が強い社会的紐帯からの影響力を減少させるような介入方略が効果的であることが示唆された。
すべて 2021 2020 2019
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
Social Science & Medicine
巻: 260 ページ: 113207-113207
10.1016/j.socscimed.2020.113207
American Journal of Epidemiology
巻: in print 号: 9 ページ: 1-28
10.1093/aje/kwaa041
journal of Occupational Health
巻: 62 号: 1 ページ: n/a
10.1002/1348-9585.12115
130007815491
Frontiers in Psychology
巻: 10: 2799 ページ: 1-10
10.3389/fpsyg.2019.02799
巻: 240 ページ: 1-8
10.1016/j.socscimed.2019.112527
The International Journal of Environmental Research and Public Health
巻: 16(8) 号: 8 ページ: 1310-1310
10.3390/ijerph16081310
Bulletin of the World Health Organization
巻: 97 号: 8 ページ: 570-574
10.2471/blt.18.223057