研究課題/領域番号 |
19K19547
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
|
研究機関 | 札幌市立大学 (2022-2023) 医療創生大学 (2020-2021) 松蔭大学 (2019) |
研究代表者 |
三戸部 純子 札幌市立大学, 看護学部, 講師 (10836844)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
|
キーワード | 薬剤エラー / 薬剤表記 / 薬剤名 / 薬剤量 / 差異検出 / 正誤判断課題 / 類似薬剤名 / 類似薬剤量 / 異同判断課題 / 医療安全 / 指差呼称 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、看護師を対象に、文字情報を刺激として、類似する文字列に対するエラーのしやすさと、エラー防止に効果的な指差呼称の方法について検討する事を目的とする。医療現場では、患者間違いや薬剤の取り違い、投与量の間違いといったエラーを防止するための対策の1つとして、指差呼称で確認する方法を行う。しかし、医療現場を想定した指差呼称の実験的検討をした研究は少なく、現実には指差呼称を行っていてもエラーが生じる場合がある。そこで薬剤投与に関連する文字情報のマッチング課題を行い、課題遂行中の視線計測をすることで、類似する文字列に対するエラー傾向と効果的な指差呼称について、認知的処理の観点から明らかにする。
|
研究実績の概要 |
カタカナである薬剤名と、数字と単位で構成される薬剤量を単独で呈示した場合には、薬剤量の方が、差異の検出が容易であった。このことから、両者を組み合わせた場合の、薬剤名と薬剤量それぞれの差異検出の容易さと、2つの薬剤情報の表示順による影響について実験的検討を行うために、薬剤名から表示される薬剤名先行条件と、薬剤量から表示される薬剤量先行条件を設定し、2つの実験を行った。 実験1では、4文字の薬剤名と4個の数字と単位からなる薬剤量を組み合わせ、薬剤名と数字の文字数が同数となるようにして、表示順によるエラー検出の容易さを比較した。実験は、パソコンの画面上に薬剤名と薬剤量の組合せた文字列を2回続けて呈示し、文字列が一致しているか否かを判断する、正誤判断課題を行った。実験の結果、単独呈示で見られていた、薬剤量の差異検出の容易さは減弱し、薬剤名と薬剤量の間にエラー率の差は見られなかった。また、薬剤名が先行した場合には、後続する薬剤量が不一致の場合にはエラーが少なく、薬剤量が先行する場合には、後続する薬剤名が不一致の場合のエラーが少なく、どちらも後続する情報の方が、差異の検出が容易であるという結果であった。 実験2では、実在する薬剤名と薬剤量の組合せを実験刺激として使用した。5~6文字の薬剤名と、2~3桁の数字と単位からなる組合せの薬剤を選定し、実験1と同様の課題を行った。その結果、実験1と同様に、薬剤名先行の場合も薬剤量先行の場合も、後続する情報の方が差異の検出が容易であった。通常は文字を読む際には先頭から読み進めるため、先行する情報の方が差異検出が容易であると予測したが、異なる結果であった。実験では、注視点を文字列の中心に配置したため、注視点から後方の文字の識別が容易となった可能性がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
薬剤情報を組み合わせた場合の表記順による影響を検証することができたが、現在のところ非医療従事者の検証にとどまっている。今後は、医療従事者を対象として、薬剤情報の表記方法による差異検出の傾向を、エラー率や反応時間といった行動指標に加え、視線計測による注視回数や注視時間とエラー率の関係から、差異検出の容易さについて検討を行っていく。
|
今後の研究の推進方策 |
実環境に近い状況で、薬剤表記の差異の見逃し・見間違いを検討するために、薬剤の包装を模した実験刺激を作成し、薬剤名と薬剤量を並列表記した場合、上下に表記した場合を条件として設定し、実験を行う。 当初は指差呼称によるエラー低減の効果を検証する予定であったが、研究遂行の遅れから、薬剤表記に対する医療従事者と非医療従事者による、差異検出の違いまでを実施することとする。
|