研究課題/領域番号 |
19K19584
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
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研究機関 | 一宮研伸大学 |
研究代表者 |
増永 悦子 一宮研伸大学, 看護学部, 准教授 (00465569)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 終末期看護 / 大学を拠点とした看看連携 / 緩和ケアネットワークモデル / 訪問看護師 / ACP / 地域連携 / 緩和ケアネットワーク / 在宅死 / 看看連携 |
研究開始時の研究の概要 |
1)対象地域の終末期看護に関する看看連携ネットワークの実態を調査し現状を把握する。 2)対象地域の終末期看護に関する看看連携ネットワーク案を作成する。 3)対象地域の訪問看護師へのインタビュー調査を実施し、終末期に携わる訪問看護師の心理的課題について地域特性との関連を解明する。 4)大学を拠点に「看護を語る場」を整備して試行し評価する。対象地域の看看連携による緩和ケアネットワークモデルを提案する。
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研究実績の概要 |
1.昨年5月に新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)は2類相当から5類に変更したが、医療施設等では2類相当に準じた感染対策が継続し、研究時にも感染対策が必要だった。スーパーバイザーの研究者や研究参加者との面談時は感染対策の必要があり、所属機関と相談し前年度までに整えたICT環境を継続した。 2.これまで訪問看護ステーション(以下ST)主催のイベントに参加し、行政や医療機関の医療専門職(保健師、看護師を含む)など、多様な看看連携に関連する人々や地域包括ケアシステムに関連する人々(町内会長、老人会会長、民生委員など)の参加、及びそれらの人々と訪問看護STの利用者や一般市民との交流も確認した。そこで訪問看護STのX地区をモデル地域に選定し、ネットワークモデル案の作成の為に、その訪問看護STの看護師の終末期の語りを詳細に分析した。その結果、在宅での終末期看護に関する価値観がテーマとして抽出され、その形成過程には「価値観を支えるもの」「在宅における終末期医療の課題」「忘れがたい在宅での終末期患者・家族」があり、それらが看護師の看護観や死生観等に影響を与えて、終末期看護に関する価値観の形成に繋がったと推測できた。本研究成果を学会で発表した。 3.モデル地区に選定した訪問看護STのX地区、及び大学所在地域を含む一宮市を対象にして、ネットワークモデル案の検討の為に、緩和ケアに関連する地域資源の実態の整理をした。一宮市には連区という独特の区分があり、緩和ケアに関する資源の調査結果を連区の記載された地図に整理して図にまとめた。本研究成果を論文にまとめて投稿し掲載された 4.今年度も研究課題に関連する学会や講演会に参加した。参加した講演の中には、地域における終末期ケア提供を可能にする地域包括ケアシステムの構築について、海外での取り組みの紹介した講演もあり、ネットワークモデル案の検討に生かした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感染症は2類相当から5類に変更したが今年度も感染症の影響を受け、研究参加者等との面談時には感染対策を継続した。その対応は前年度と同様に所属機関と相談しICT環境を整えた環境を継続した。今年度は、まずモデル地域に選定したX地区訪問看護STの看護師の語りを詳細に分析し、在宅での終末期看護に関する価値観をテーマとして抽出できた。そして価値観の形成過程には「価値観を支えるもの」「在宅における終末期医療の課題」「忘れがたい在宅での終末期患者・家族」があり、それらが看護師の看護観や死生観等に影響を与えたと推測できた。これまでの研究成果で乳がんサバイバーは病期初期から「意思決定支援過程における同病者の支援」をしており、看護師の関わりに課題があると考えられた。また訪問看護師への調査結果からも「在宅での終末期の意思決定支援」が抽出された。地域での看護師による意思決定支援は重要課題であり、その支援には看護師個々がもつ終末期看護に関する価値観が、重要な影響を与えていると示唆された。それと同時に、モデル地区に選定した訪問看護STのX地区、及び大学所在地域を含む一宮市を対象に、緩和ケアに関連する地域資源の実態の整理をした。その結果で、ほぼ全ての調査項目が該当した3連区は、2005年4月1日の市町村合併以前のがん登録等の医療機関が所在する3つの地域だった。さらに、がん関連の専門・認定看護師が、これらの3連区の医療機関に集中していて訪問看護STには存在しなかった。今後は、がん関連の専門看護師・認定看護師と、地域で緩和ケアを担う訪問看護師を含めた看護師らとを、有機的につなぐ看看連携の具体的なネットワークの構築が必要と考えた。次年度は、これまでの全ての研究成果を統合して、モデル地区に選定したX地区の訪問看護STを手掛かりに、大学を拠点とした地域基盤の看看連携によるネットワークモデル案の提案を行う予定とした。
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今後の研究の推進方策 |
当初、本研究は令和5年度迄を研究期間に計画したが研究の進捗が遅れた為、研究期間延長を希望し承認を得た。昨年5月から政府の方針で感染症対策方針が変更された。しかし次年度も感染症の影響が予測される為、研究を進める上で必要な感染対策を継続して研究を講じる必要がある。これまでの研究成果として、乳がんサバイバーは病期初期から「意思決定支援過程における同病者の支援」をしており、看護師の関わりに課題があると考えた。また訪問看護師への調査結果からも「在宅での終末期の意思決定支援」が課題として抽出された。モデル地域に選定したX地区の訪問看護STの看護師の語りの分析結果では、在宅での「終末期看護に関する価値観」をテーマとして抽出できた。地域での看護師による意思決定支援は重要課題であり、その支援には看護師個々がもつ終末期看護に関する価値観が、重要な影響を与えると示唆される。それと同時に、モデル地区に選定した訪問看護STのX地区、及び大学所在地域を含む一宮市を対象に、緩和ケアに関連する地域資源の実態を整理した結果、特定地域にその資源が集中していた。さらに、がん関連の専門・認定看護師がこれらの医療機関に集中し、訪問看護STには存在しないことを解明した。今後は、がん関連の専門看護師・認定看護師と、地域で緩和ケアを担う訪問看護師を含めた看護師らとを、有機的につなぐ看看連携の具体的なネットワークの構築が必要と考える。その際には、モデル地域に選定したX地区の訪問看護STの看護師の語りの分析結果の「終末期看護に関する価値観」についても、考慮に入れる予定である。以上の研究実績を基に、次年度は訪問看護STのX地区をモデル地域に選定し、大学を拠点とした地域基盤の看看連携によるネットワークモデル案の具体的な作成に取り組む。そして次年度も、研究成果を学術誌等への論文投稿を目指し、研究参加者に報告する。
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