研究課題/領域番号 |
19K19763
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
松本 千晴 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (30452874)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 難病 / 患者会 / 災害 / 地域 / ネットワーク / ソーシャル・キャピタル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の最終目的は、「地域難病患者会を核とした災害時にも対応できるネットワークのあり方を明らかにすること」である。熊本地震時、難病患者は、食事・トイレ・薬等における様々な問題を抱えた。熊本県内には、2次医療圏ごとに地域難病患者会が存在する。そこで、この地域難病患者会を研究参加者として、アンケート調査、フォーカスグループインタビュー等を実施し、熊本地震の経験を元に、地域難病患者会を活かした災害時にも有効に機能するネットワークの構築を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究の最終目的は、「地域難病患者会を核とした災害時にも対応できるネットワークのあり方を明らかにすること」である。 今年度は、「熊本県内の地域難病患者会ごとの熊本地震における経験および災害に対する認識を明らかにする」ために、個別インタビューを実施した。研究対象者には、「地震でどのような経験をしたか」「地震でどのような支援が必要だと感じたか」「地震後、災害に対してどのように考えるようになったか「地域難病友の会に所属していたことで、地震時(後)に助かったと感じることはあったか」を、半構成的面接で実施した。 今年度の研究対象者は3名(難病患者1名、介護者2名)で、震災の被害が大きかった圏域に住む者であった。 対象者は、まず①患者や介護者の心身の状態を考え避難所への避難を断念していた。また、ケアに水や電気が必要なため、 ②水の確保に努め、③断水や停電の不安を強く感じており、ケアにおいて水が必要な患者に対しては、飲料水に加えてケア用の水の供給を求めてた。さらに、震災直後は医療福祉専門職の訪問が途絶えたため、④一人で介護をすること、患者を自宅に一人にできないことによる行動制限や介護の困難さを感じていた。 ⑤患者会からの情報的・情緒的サポートは精神的な支えになったが、⑥近隣者からの直接的な情報的・手段的サポートに助けられた部分が大きく、震災を機に近隣での助け合いの大切さを実感していた。加えて、A患者会では、会長が会員へ連絡取って状況を把握し、薬の手配などの対応をしていた。患者会の運営の特徴によって多少の違いはあると考えるが、日頃より、会員の病気や治療について会員同士で理解し合う機会があることで、有事の際にそれらの情報を用いて、支援し合う体制が構築できる可能性がある。 今後は、震災の被害が小さかった圏域の地域難病患者会に所属する者にもインタビューを実施し、災害に対する認識の違いも明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の感染拡大の影響を受け、グループインタビューから個別インタビューへ切り替えたが、予定していた対象者すべてにインタビューを実施することができなかった。また、患者会代表者と関係機関によるグループディスカッションも実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
「熊本県内の地域難病患者会ごとの熊本地震における経験および災害に対する認識を明らかにする」ために、引き続き個別インタビューを実施する。研究対象者が難病患者のため、安全(感染予防)に細心の注意をはらい、対象者の希望に合わせながら、対面、Web、電話、いずれかでのインタビューを実施していく。また、「熊本県内における地域難病患者会を核とした災害時にも対応できるネットワークのあり方を検討する」ためのグループディスカッションにおいても、県内の各地域難病患者会の代表者および難病相談支援センターのスタッフ等を対象として、対面もしくはWebで実施予定である。
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