研究課題/領域番号 |
19K19789
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 帝京大学 (2020-2022) 千葉大学 (2019) |
研究代表者 |
高梨 利恵子 帝京大学, 文学部, 講師 (30755848)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 慢性疼痛 / 認知行動療法 / イメージ書き直し / シングルケース実験デザイン試験 / 遠隔認知行動療法 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性疼痛患者は疼痛時に原因となった事故や激痛の記憶など過去のトラウマや将来の懸念を視覚化したネガティブなイメージを体験している事例が多いことが報告されている。この疼痛時の心的イメージが悲観的な思考や感情を引き起こし、痛みを強め、生活機能障害に結び付く回避行動につながっている可能性が考えられる。本研究では、疼痛時に体験しているイメージの内容を質的に明らかにし、痛み、感情、思考、行動に対する影響を検討して、痛みが慢性化する心理的なメカニズムのさらなる解明を試みる。さらに、疼痛時の視覚的イメージを書き直す新しい認知行動療法の技法を作成・実施し効果を検証する。
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研究実績の概要 |
先進国では人口の高齢化に伴い疼痛保有率が増加しており,その対応は喫緊の課題である。とりわけ慢性疼痛,すなわち「急性疾患の通常の経過あるいは創傷の治癒に要する妥当な時間を超えて持続する痛み」と定義される状態に陥ると,満足の行く程度に痛みを和らげることができた患者は1/4以下であるとする報告もあり,治療のさらなる充実が求められる。慢性疼痛への治療方針は,薬物治療、理学療法,外科的治療、心理治療などを含めた集学的治療が基本であるとされており,心理治療では認知行動療法がエビデンスのあるアプローチとして推奨されている。 本研究課題は慢性疼痛が維持される認知的なメカニズムのさらなる解明を目指し,患者が疼痛時に心に思い描く「疼痛時イメージ」に着目し,その内容について質的に分析するとともに,痛みや生活機能障害,感情等に対する影響について検討することを目的とした。また,近年不安症やうつ病を始めとした精神疾患に対して効果が報告されている,「イメージの書き直し(imagery rescripting)」を行って,その効果を検証することをめざした。本年はDSM-5の身体症状症(痛みを主とする)の診断基準を満たした11例(男性5名,女性6名,平均年齢41.45±10.91歳、罹病期間6.6±4.72年, 疼痛部位は腰が3名,全身および片足がそれぞれ2名,首下全身,片腕,背部,側腹部がそれぞれ1名)に対し,疼痛時イメージの内容と機能を明らかにする半構造化面接と,イメージの書き直しを行った結果を解析し,学術大会で報告を行った。さらに,ベースライン期間をランダム化し,コントロール介入(イメージインタビュー)とイメージ書き直しをそれぞれ実施するシングルケース実験デザインにより実施した臨床試験を解析し,現在報告に向けて準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の蔓延により,患者リクルート,およびセラピストのトレーニングの進行に大きな影響が出たため,臨床試験の開始に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
11例に対して行われたイメージ書き直し技法の予備的な効果検証と,8例に対してシングルケース実験デザインを用いて実施されたイメージ書き直しの臨床試験について,学術誌に報告を行う予定である。
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