研究課題/領域番号 |
19K19821
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
中嶋 香奈子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (00760290)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 歩行動作分析 / 足部機能評価 / 剪断力計測 / 無線通信 / リアルタイムモニタリング / 人間工学 / 計測工学 / 足部異常予防 / 足底部剪断力計測 / 歩行 / 足部 / 転倒予防 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では,日常生活中や臨床現場において簡便に活用可能な足部機能・歩行機能の評価手法が確立されていないことに着目し,ヒトの足底部にかかる「剪断力」の観点から行う定量的評価手法の構築を目的とする.ここでは,小型の三軸力剪断力センサとデータ伝送用の無線装置を備えた靴型の足底部剪断力計測デバイスを設計・開発を進める.さらに,開発デバイスを用いて,健常者・高齢者・足部疾患患者を対象とした歩行データの取得を行うことで,足部の解剖学的構造や歩行動作分析に密接に関わる計測パラメータに着目した自動分析アルゴリズムを作製し,足部/歩行機能の新たな評価パラメータの創出を目指した計測システムを構築する.
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研究実績の概要 |
本研究課題ではヒトの足部機能に着目し,日常生活の中で簡便に活用可能な足部機能および歩行機能の定量的評価手法の確立を目指した.外反母趾や胼胝,魚の目,巻き爪などの足部の異常は,高齢者の転倒リスクを増加させる要因の1つであるとの報告が挙げられることから,効果的な予防対策が求められる.また,これらの足部異常は日々の生活の中で繰り返し行われる歩行動作により,足部への負荷や荷重の状況が変化し影響を与えることから,高齢者のみならず幅広い年代を通して健康的な足部状態の保持のための対策が必要である.そこで本研究課題では,ヒトの足底部にかかる「剪断力」に着目した定量的評価手法の構築を目的とし,足部・歩行機能の評価パラメータの新規創出を目指した計測システムの開発を行った.開発デバイスには剪断力計測が可能な小型高感度三軸力センサを採用し,無線通信により得られたデータを専用端末に伝送可能な設計とした.実験より,歩行動作時における足部にかかる剪断力データをセンサから取得することができ,出力波形の比較分析を進めることで,歩行周期における足部動作を解析することができた. 2022年度は,これまでに取得した健常者の歩行計測実験のデータを詳細に分析した.また,地域在住の高齢者を対象としたフィールド実験で実施した歩行データを取得した.対象者群別に,歩行中の足部の内外反の動きや,足圧中心軌跡の偏移,出力データの全体的な波形の特徴の違いについて考察した.実験室環境下だけでなく場所を問わず日常生活に即した歩行動作の定量計測ができる本デバイスは,ヒトの足部の解剖学的構造や3次元的な動作分析に着目し,対象者の足部・歩行機能の新たな評価手法を見出す1つのツールとして提案できると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までに,足部機能および歩行機能の定量的評価のための足底部剪断力計測デバイスの開発・改良を進めた.また,開発デバイスと既存の評価手法である三次元動作解析システムによる健常者の歩行計測データを取得した.加えて,地域在住の高齢者を対象としたフィールド実験で実施した歩行データを取得した.これにより,ヒトの歩行動作時における足底部にかかる剪断力データを定量化,データの分析を進めることができた.開発デバイスを用いることにより,歩行動作中において安定して剪断力データを取得でき,足部の内外反の動きや足圧中心の偏移,歩行立脚期における荷重データの波形特徴等を観察できることを確認した. 2022年度は歩行計測実験において歩行データをさらに取得予定であったが,2021年度と同様に新型コロナウイルス感染症拡大の影響により,ヒトを対象とした歩行計測実験が計画通りに遂行できず,現段階では被験者数は十分とは言えない状況である.実験の手法や準備は既に整っていることから,今後は実験再開ができる状況になった段階で健常者・高齢者のデータを再度収集し,分析アルゴリズム構築のための知見を収集する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
今後は安全に実験再開ができる状況になった段階で,ここまでに開発を進めた足底部剪断力計測デバイスを用いて健常者・高齢者・足部疾患患者を対象とした歩行計測実験を引き続き行う.新規被験者のデータ取得が困難になる場合,既に取得したデータの詳細な解析を進め,歩行動作時における足底部剪断力データに対する自動分析アルゴリズムの構築を目標とする.計測データについては,多変量解析の手法を用いて足部の解剖学的構造・歩行動作に関連する身体運動データの特徴のパターン分類を行い,対象者ごとの特徴量を抽出することで歩行および足部機能の分析アルゴリズムを構築し,新たな定量的評価手法の確立を目指す.さらに,開発デバイス制御用アプリケーションソフトウェアにその分析手法の要素を組み込み,デバイス一式の改良を進める.ここでは,ユーザへのデータのフィードバック機能を充実させることで,人々の日常生活におけるデバイスのユーザビリティの向上を目指す.
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