研究課題/領域番号 |
19K19831
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
筆保 健一 広島大学, 病院診療支援部, 理学療法士 (40741301)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 慢性肝疾患 / サルコペニア / 歩行速度 / 肝線維化 / 運動療法 / 慢性肝炎 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性肝疾患における運動療法介入がサルコペニアおよび肝組織を同時に改善させるかどうか検証したものはまだない。 本研究では、はじめに慢性肝疾患患者における身体活動量とサルコペニアの関係について横断的に調査を行う。そこでサルコペニア予防のために必要な身体活動量を明らかにする。次に慢性肝疾患患者に運動療法の指導を行うことでサルコペニアおよび肝組織が同時に改善するかどうかを明らかにする。 本研究の目的は、慢性肝疾患患者を対象に運動療法介入がサルコペニアおよび肝組織を同時に改善させるかどうかを検証することである。
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研究実績の概要 |
慢性肝疾患(CLD)患者においてもサルコペニアは死亡リスクを上昇させる。一方で、CLDにおける肝線維化とサルコペニアの関係性については不明な点が多く、さらには、歩行能力などの身体機能との関連性は明らかでない。そこでCLD患者を対象に、肝線維化がサルコペニアおよび歩行能力と関連があるか検証が行われた。 対象は2014年4月から2018年6月までに広島大学病院消化器内科に入院し、リハビリテーション科に紹介され理学療法を受けた60歳以上のCLD患者117名であった。 評価項目は、患者背景として年齢、性別、BMI、肝細胞癌の有無、肝線維化マーカーとしてFIB-4 index、体組成ならびに身体機能として骨格筋量、握力、膝伸展筋力、歩行速度とされた。サルコペニアの有無は、Asian Working Group for Sarcopenia (AWGS) 2019基づき判定された。FIB-4indexはLow (FIB-4 index <2.0)、intermediate (2.0≦FIB-4 index≦2.67) 、High (FIB-4 index > 2.67)の3群に分類、歩行速度低下は<1.0m/sとした。 対象全体でのサルコペニアの有病率に差を認めなかった。一方、歩行速度低下の発生率は、Low FIB-4 index群の17%に対し、High FIB-4 index群で41%と高値を示した (p=0.029) 。ロジスティック回帰分析の結果、年齢、性別、肝細胞癌合併、骨格筋量減少とは独立して、FIB-4 index (odds ratio [OR]: 1.32, 95% Confidence Interval [CI]: 1.13-1.55) および下肢筋力 (OR: 0.92, 95% CI: 0.88-0.97) が有意な因子として抽出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下内容の投稿論文のアクセプトが達成された。 肝炎を含む慢性肝疾患を対象に、肝線維化の進展がADL低下を伴い、さらに筋肉量・筋力低下を惹起する可能性を示した。高齢CLD患者において、骨格筋量や筋力低下だけでなく、歩行速度低下に対する予防的介入の重要性を示唆し、早期からのリハビリテーション介入がADLの維持・改善に重要な役割を担うことが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
次年度、さらなる解析を行い、論文投稿を検討している。
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