研究課題/領域番号 |
19K19834
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
戸田 創 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (40516580)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 骨形態 / 投球障害肩 / 肩甲骨 / 腱板筋群 / 画像解析 |
研究開始時の研究の概要 |
「肩甲骨関節窩の過度な前傾」という骨形態が、投球障害肩の発症リスクを高める可能性がある。私たちはこれまで、健常者の肩関節中間位において「関節窩の前傾が大きくなる」と「腱板筋群の作用方向の後方への傾きが小さくなる」ことを示した。この結果は、骨形態が筋の機能に影響を及ぼすことを示唆している。投球障害肩の予防に応用するには、野球選手の投球肢位における更なる検討が必要である。 本研究の目的は、野球選手を対象とし、投球肢位である肩外転外旋位において「関節窩傾斜角」が「腱板筋群の作用方向」に及ぼす影響を明らかにすることにある。加えて、「関節窩傾斜角」が投球障害肩の発症、再発のリスク因子となるかを検証する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は以下の3点を明らかにすることである。1. 健常野球選手の「肩甲骨関節窩傾斜角」と「肩関節外転外旋位における腱板筋群の作用方向」に関係があるか。2. 投球障害肩の既往の有無により、「関節窩傾斜角」及び「外転外旋位における腱板筋群の作用方向」に違いがあるか。 3. 「関節窩傾斜角」が、 投球障害肩の新たな発症、再発のリスク因子となるかどうか。 2019年度は、目的1. 2.を検証するデータの収集に必要な環境整備・被験者調整を行い、16名の野球選手のMRI撮影を実施した。2020年度以降に50名程度の野球選手のMRI撮影を実施予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で医療機関のMRI機器の使用が困難な状況となり、2020,2021, 2022年度で1名もMRI撮影を実施することができていない。 そのため、すでに撮影済みのMRIデータを用い、本研究で用いる肩甲骨骨形態の計測方法の妥当性を検証する解析を進め、国内学会の発表を行った。(2021年度) 加えて、投球障害肩の既往の有無により肩甲骨の骨形態に違いがあるかを検討し、国内学会での発表を行なった。(2022年度)具体的には、野球選手38名(投球障害肩の既往有り群19名, 既往無し群19名)の投球側、およびオーバーヘッドスポーツの経験が無いコントロール群30名の利き手側のGlenoid version(関節窩傾斜角)、inclination、anterior torsionを比較した報告となる。結果として、既往歴が無い野球選手の肩甲骨関節窩は既往歴が有る野球選手やコントロール群と比較し、retroversionおよびanterior torsionが大きい傾向が認められた。この結果より、「大きな関節窩後傾」や「大きな関節窩前捻」は投球動作で生じる肩関節への力学的ストレスを減少させる適応の一つであると考察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究実績の概要に記載の通り、新型コロナウイルス感染拡大の影響で医療機関のMRIを用いた実験が実施できていない。2019年度に撮影済みのデータ解析は順調に進んでいるが、当初計画にある「外転外旋位での腱板筋群の作用方向の検討」や「投球障害肩の新たな発症、再発のリスク因子の検証」は実施困難な状況となった。 そのため、補助事業期間を延長し、追加のデータ収集を実施する計画を予定しているが、現状の研究の進捗は「遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度までに計測したMRI画像を用い学会発表・論文執筆を進める。 また、MRI撮影を実施する医療機関との実験再開スケジュールも調整中であり、追加でのデータ収集を可能な限り実施予定である。
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