研究課題/領域番号 |
19K19896
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
永田 裕恒 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (60804549)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 殿部ずれ力 / 座位保持装置 / リクライニング / 姿勢保持部品 / 膝ブロック / 重症心身障害児 / ずれ力 |
研究開始時の研究の概要 |
重症心身障害児(以下、重症児)が座位で活動する際に必要な座位保持装置に、姿勢保持部品である膝ブロックを作製し、日常生活活動能力の向上に効果があることを検討する。 重症児が遊びや食事を行う際の活動的な座位姿勢を保持するためには、座位保持装置の背もたれを垂直に近い角度まで起こして使用することが必要であるが、その角度では姿勢の崩れが増強してしまう。姿勢の崩れは、遊びや食事といった活動の遂行を妨げ、その主な原因となり得るのが、骨盤の後傾と前方への滑りである。 そこで本研究では、実用的な膝ブロックを使用することにより、骨盤の後傾と前方への滑りを制御し、安定した活動姿勢を提供することである。
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研究実績の概要 |
本研究は、重症心身障害児(以下、重症児)や高齢者、重度の障害者が使用するリクライニング機能を有する車椅子や座位保持装置について、座位姿勢の崩れや不安定性の原因となる骨盤の前方への滑り(殿部ずれ力)を軽減することが可能な姿勢保持部品である膝ブロックを作製し、安定した座位姿勢を提供する目的で実施している。 リクライニング機能を有する車椅子使用の問題点として、リクライニング操作を繰り返し行うことにより、骨盤の回転軸である股関節位置と車椅子の回転中心の位置が一致しないため、殿部ずれ力の増大、座り心地の低下などが生じると考えられる。それらの対策として、リクライニング機能を有する車椅子の回転軸位置を変更するなどの基本的構造を変更することが挙げられるが、それには多大な時間と労力を要するため困難である。このような状況において令和4年度は、これまでの研究を踏まえ、既存のリクライニング機能を有する車椅子に簡単に着脱することが可能な姿勢保持部品である膝ブロックの使用について、殿部ずれ力の軽減効果について検討を行った。その結果、背もたれに体幹がもたれることで生じる座圧中心位置が前方へ偏位することや背もたれからの反力で身体が前方へ押し出され、殿部ずれ力が増大し、殿部や大腿部が前方へ滑ることに対して、膝ブロックは確実に抑制され得ることが明らかとなった。 そして、上記の検証結果からリクライニング機能を有する車椅子を使用する上で、殿部ずれ力に着目し、安定した座位姿勢の獲得はもちろん、安楽で快適な座位姿勢を提供することは重要であると考えた。したがって、現在、様々な姿勢保持部品(骨盤ベルトや大腿ベルトなど)を使用して、膝ブロックの使用効果と快適性・安楽性について検討・実証を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究課題である重症心身障害児を対象とした座位姿勢保持部品の開発と作製については、現在検討を進め、完成しているが、実証実験を行うことができていない。また、新型コロナウイルス感染拡大予防の観点から、臨床研究を十分に進めることができていない。しかし、座位姿勢保持部品を導入するにあたり、座位姿勢の基礎的な研究を継続的に実施していくことが必要であると考える。従って、その点に関しては、健常者を対象として姿勢保持部品使用による、リクライニング中の殿部ずれ力増大に対する軽減効果と快適性・安楽性について検討を行っている。これらの成果発表を今後、学術大会にて発表を行う予定である。以上のことから、「遅れている」という進捗状況として報告する。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度(2023年度)には、健常者を対象とした座位姿勢保持部品である膝ブロックの有用性について検討し、さらには座位保持装置を使用している重症心身障害児を対象とした介入研究を行いたいと考えている。そして、それらの結果を学術大会にて発表する予定である。また、それらの内容を論文投稿し、公表していく予定である。
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