研究課題
若手研究
本研究は、医療やスポーツ現場で肉体疲労や外傷局部のケアとして汎用される『クライオセラピー』の分子メカニズムを創薬研究と同等レベルで明らかにする事を目的としている。クライオセラピーは医療やスポーツ現場で汎用されているが、その効果を生み出す分子メカニズムは未だ明らかにされていない。現在までの申請者の研究において、筋に対する至適温度・回数でのクライオセラピーは、ある種の細胞内シグナルを作動させ、目的転写因子の活性化を介し様々な遺伝子の発現を上昇させる事が明らかにされており、今後の本研究では、クライオセラピーが影響を及ぼす全ての分子シグナル経路・転写因子・表現型を解明することを目指している。
クライオセラピーはスポーツ現場や医療現場において運動器局部 の外傷や肉体疲労のケアとして古くから汎用されているが、その分子メカニズムや治療効果は未だ明らかでない。そこで本研究ではクライオセラピーの効果の分子メカニズムを細胞やモデル動物を用いて明らかにすることを目的とした。実験では、細胞やモデル動物に対を、クライオセラピーを模倣する冷却刺激に暴露し、分子生物学的手法を用いて様々な解析を行った。その結果、クライオセラピーはミトコンドリ生合成や組織のリモデリングに関与するシグナル分子の活性化や遺伝子発現を増加させる事が観察されクライオセラピーの分子メカニズムの一端を明らかにすることが出来た。
これまでの先行研究の報告では、外傷局部に対するクライオセラピーには治療的効果があるとする報告と、無とする報告が複数混在している。さらに、我々が医療やスポーツ現場において仕事をこなす中、クライオセラピーを推奨する術者と、そうでない者が混在し、クライアントが治療方針に関し混乱を来すことが多くなる。本研究成果から考察するに、適切な方法の基に実施されるクライオセラピーは、組織修復や疲労回復に効果がある可能性があると言える。そのため、社会的な医療やスポーツ現場でクライオセラピーを実施する術者に対して、新たな洞察を提供出来現、適切な施術・治療を実施する際の一つの助けになると考えられる。
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