研究課題/領域番号 |
19K20005
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 東海学園大学 |
研究代表者 |
白井 祐介 東海学園大学, スポーツ健康科学部, 講師 (40836251)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | インターバル運動 / 認知的負荷 / 中大脳動脈 / 酸素化動態 / 近赤外線分光法 / 超音波画像診断装置 / 平均血流速度 / 持久性パフォーマンス / 前頭前野 / 持久性運動 / デュアルタスク |
研究開始時の研究の概要 |
持久性競技において、競技者は運動を継続しつつ、自身のペースや競争相手の動向などに注意を向けなければならないため、運動課題と認知課題を同時に遂行するデュアルタスク条件下に晒されている。本研究は、持久性の運動課題に認知課題を組み合わせたデュアルタスク条件を用いて、認知課題の難易度 (認知的負荷) の増加が持久性パフォーマンスに及ぼす影響、およびその程度に関連する被験者特性を明らかにすることにより、デュアルタスクモデルの観点から、持久性パフォーマンスの制限要因および持久性パフォーマンス向上を目的としたデュアルタスクトレーニングに関する知見を得ることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、運動中の認知的負荷の増大が持久性パフォーマンスに及ぼす影響を明らかにするとともに、その際の持久性パフォーマンスの低下または向上に前頭前野の脳活動レベルが関与するのかを明らかにすることを目的としている。これまでの研究結果から、認知的負荷の増大が持久性パフォーマンスに及ぼす影響には個 人差があり、認知的負荷が加わることで高強度運動の運動継続時間が低下する対象者と向上する対象者が認められた。さらに、その際、前額部で評価した近赤外線分光法による脳酸素化動態から、認知的負荷が加えられたことで運動継続時間が減少する被験者では、酸素化ヘモグロビン濃度の顕著な低下が認められることが明らかになった。本年度は、中大脳動脈の平均血流速度 (MCAVmean) の測定およびインターバル運動における検討に取り組んだ。MCAVmeanについては、運動中に安定して測定することができない対象者が多く、十分なサンプル数を確保することができなかった。測定方法に起因する問題なのか、測定機材に関連する問題なのかについて、さらに検討を行う必要がある。一方、インターバル運動における検討では、本研究課題にとって重要な知見を得ることができた。短時間高強度の運動を休息を挟みつつ繰り返す運動プロトコルにおいて、運動のみを行う条件と休息時間内に認知課題を行わせる条件で比較検討を行った。その結果、認知課題の有無が運動課題成績 (ピークパワーや総仕事量など) に及ぼす影響には個人差が認あり、条件間で有意な差は認められなかった。一方、運動中の認知課題成績は安静時と比較して向上しており、その傾向が強い対象者ほど運動課題成績が抑制されていた。このことから、インターバル運動では認知課題と運動課題成績の間にトレードオフの関係が認められる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度に予定していた中大脳動脈の平均血流速度について、安定して測定する方法を確立することができず、十分な検討が行えなかった。一方で、インターバル形式の運動を用いた検討については、当初の予定通りにデータを取得することができた。しかし、これまでに得られた結果を学術論文としての公表が進捗しておらず、全体としてやや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた結果から、運動課題と認知課題を組み合わせたデュアルタスク条件において、運動課題および認知課題への影響は持久性運動課題とインターバル運動課題で異なる可能性が示唆されている。すなわち、持久性運動課題では、運動および認知課題の両方の課題成績が低下することから、利用可能な注意資源が減少することが推察される。一方、インターバル運動課題では、認知課題と運動課題の間にトレードオフの関係が成立することから、利用可能な注意資源に対する課題間での競合が生じていることが推察される。最終年度では、1)インターバル運動課題に関するサンプル数を増やすこと、2)これまでに得られた結果を学術論文として公表することに重点的に取り組む予定である。
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